2006年10月28日

クリスタルバレー・亀山か、姫路の真空技術か

  カラー受像管の断面図(wikipedia)

世界の亀山モデルとして工場ブランドを前面に押し出すシャープのアクオス。女優の吉永小百合さんが亀山液晶物語を語り、店頭には亀山モデルが並びます。

一方、薄型の液晶テレビに対して、ブラウン管に近い自然で高画質を売りにするSEDテレビですが、生産を担当する東芝の姫路工場では、来年1−2月に着工、10−12月に55型テレビを発売するようです。

キヤノン、SED量産ライン着工は07年1−2月(NIKKEI NET)
キヤノンは26日、東芝と共同開発中の新方式の薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)」の量産ラインの着工時期について、来年1―2月になるとの見通しを示した。東芝の姫路工場(兵庫県太子町)に建設し、キヤノン、東芝両社で計2000億円を投資する。来月にも正式決定する。まず55型テレビを発売する予定。同日の決算発表で記者会見したキヤノンの田中稔三専務は「来年10―12月中に発売する計画に変更はない」と述べた。
開発者によると、SEDはブラウン管テレビに比べてもさらに奥行き感があるとのこと(ITmedia)。
ところで、何で「夢のディスプレイ」と言われてきたSEDが、キヤノンと東芝の共同開発なのか、なぜ姫路なのか。

ITmediaより
もともとSEDはキヤノンが基礎研究を重ねて来た技術ですが、しかし実際のデバイスとして仕上げるためには不足する要素も多く、実用化までに時間がかかりすぎると考えたそうです。東芝は真空管ブラウン管で、真空の中で電子
を飛ばすノウハウを持っていました。また、我々はブラウン管で世界シェアトップだった時代もあり、世界的にもこの分野で高い技術があります。ところがそのブラウン管時代も終わり、さてどうするか。様々な技術を検討しましたが、ブラウン管の後継といえるものはSEDしかありませんでした。そこで、両社で共同開発を行おうということになりました。

東芝姫路工場は、国内でも最後まで生産を続けていた歴史あるプラウン管工場で、40年前には「東洋一の真空管工場」とも言われていたそうです(参考)。SEDの技術は、真空管やブラウン管の技術も多く使われるので、東芝姫路工場で生産するのは理にかなっています。

薄型テレビが当たり前になってきて、これからさらなる画質競争になるのは自明。世界的な競争になったとき、蓄積がモノをいう技術であればあるほど、独自の技術として競争力を持ち続けることができるでしょう。

参考
デジタル家電本格普及・花開くか「姫路」ブランド(ひめナビブログ)
「独自のSEDを研究している」,テレビ出荷数で世界一の中国TCL総裁に聞く(Tech-Oh!) - 中国メーカーも、独自のSEDを研究しているとか。

← 1日1回クリックして頂けるとRankが上がります  

Posted by miki at 00:17Comments(2)IT