2006年02月20日

大新聞の社説を見る視点

読売新聞東京本社(東京・千代田区

[神戸空港開港]「滑走路の過剰をどう克服するか」(読売新聞社説)
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来年には関空の2本目の滑走路も完成する。滑走路の数は3空港5本となり、成田羽田両空港の首都圏に並ぶ。関東の半分しかない関西の人口や、経済規模から、供給過剰は明らかだ。
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関東が適正な滑走路数ならまともな論理ですが、現実はやや異なります。

1 そもそも、3年後の完成を目指して必死で羽田空港を再拡張しているのはなぜか?(※)
2 また、拡張工事完成後も乗り入れたいのに乗り入れられない地方やアジアの航空機がたくさんある
3 本来は小型機で便数を増やしたいのに便数の制限が厳しいためやむなく大型機で便数を減らしている
4 そのため利便性や搭乗率が落ち、地方空港の経営を圧迫している

最大発行部数・読売新聞は、航空問題に対する認識がこの程度なのか?
それともわざと、とぼけているのか?

※さらに東京都知事横田飛行場の民間航空利用を公約に掲げていますし、茨城県は北関東の玄関口として百里飛行場を整備しています。


追記)想定される理由

1 成田闘争が尾を引いたおかげで、人口や経済規模に比して空港キャパシティが貧弱になり、世界やアジアの他国に大きく水を開けられた首都圏の焦り。
2 関西が優位性を持つことを良しとしない首都圏の人が多い。
3 マスメディアの9割以上が首都圏に集まり、世論を誘導。

こうした誘導が仮にあったとしても、新聞の社説を無批判に受容する人がいる限り、効果があるのでしょうね。関西人でも、社説に限らず首都圏マスメディアに毒されているような人が稀にいます。

参考
空港問題解決策(石原都知事の政策)
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本来ならば国が取り上げるべき問題にも関わらず、石原が横田基地の返還を訴える背景には、深刻な空港問題がある。
(中略)
「パンク寸前の成田・羽田」
(中略)
このような空港事情により、目の前にある多くのビジネスチャンスを失っているのが現状だ。これは明らかに国益の損失である。
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知らなかったという欺瞞(大石英司の代替空港)
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関西圏くらいの人口と経済規模で、空港三つなんてのは全然珍しくありません。パリロンドン(確か六つだぞ)、ニューヨークと見て下さい。何処かのテレビで、「首都ですら二つしか無いのに……」と馬鹿なこと言ってましたが、そのたった二つしか無い空港でどれだけの不便を強いられ、どれだけわれわれの生産性の足を引っ張っていることか。
田中康夫は何で反対したのか? あいつは田舎もんだからです。外国と言えば、欧州の成田と揶揄されるローマのダビンチ空港ミラノしか知らないから。だから経済規模や人口に見合った空港の数や規模なんて全然思いも寄らない。
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航空自由化の進展と空港大改革(杉浦一機)
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これまでは、「大型機による頻度の少ない運航」が日本の大手航空会社の体制だったのですが、「小型機による多頻度運航」が増えて来ます。欧米では既に潮流になっていますが、日本の場合の最大のネックは、空港のキャパシティだったのです。
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新聞の読みかた(372log@姫路) - 関空叩きのお手軽記事(朝日新聞の例)。とくに空港に関しては中身のない記事が多い。
小型機全国で増加(372log@姫路)
小型航空機の時代(372log@姫路)

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Posted by miki at 06:33Comments(8)マスメディア