2016年11月19日

動かない救急車。医学部移転を

播磨の城下町 ひめじで暮らしませんか?(姫路市)

先日、けが人が出たので救急車を呼んだ現場に居合わせました。
救急車がなかなか出発しない。
土曜日の午後ということもあるのでしょうが、受け入れ先の病院が見つからないらしい。
2007年に姫路市の男性が16病院に受け入れ拒否され死亡したニュースがありましたが、状況は相変わらずですね。

姫路への移住促進パンフレットの裏面にこんなことが書いてあります。
[医療]
姫路市休日・夜間急病センターが開設されており
(中略)
重症の場合は二次救急医療機関への搬送も行われるなど、安心の医療体制が整っています。
姫路市の休日・夜間急病センターは優れた制度だと思います。
しかし、医療体制が万全とか、他地域より抜きんでているかと言えば、そんなことはない。いや、とんでもない。

意外な医療過疎地域、兵庫〜関西修行記 vol.2~(ハフィントンポスト)
神戸市立医療センター中央市民病院は三宮に程近い場所にあるのだが、神戸市内はおろか50-60km離れた姫路や加古川から患者が搬送されてくることもある。
なぜこんなにも遠くから?東京や、私が初期研修を受けていた川崎の病院では精々10-20km以内の隣接区からの搬送があるくらいだ。
(中略)
兵庫県の産婦人科医師数は全国平均16.7人(女性人口10万人あたり、以下全て同様*1,2)に対し15.7人とやや少ない。加えて神戸市17.8人に対し、阪神地区15.9人、播磨地区全体では14.4人と医師偏在の問題もある。細かく見れば、但馬地区9.9人、丹波地区10.6人、北播磨地区11.1人、西播磨地区9.4人とほぼ半数しか医師がいない地区もある
(中略)
どうしてこのような医師不足・偏在が存在するのだろうか。原因は医師養成機関の少なさにある。兵庫県内には西宮に兵庫県立医科大学、神戸市内に神戸大学と2つの医学部があるが、北部の但馬・丹波地区や西部の播磨地区には医学部が存在しない。
「兵庫県立医科大学」なるものはないので、私学の兵庫医科大のことだと思いますが、要するに広大な兵庫県には東の端っこの国立1校、私立1校にしか医学部がありません。
何もしなければ、医者は自校の周辺や大阪など都心で働いてしまい、県内の大部分には医者がいなくなります。
日本有数の医師不足地域が兵庫県、とくに阪神間以外ということになっています。

産婦人科医師数が全国平均16.7人に対して14.4人の播磨(西播磨は9.4人)では、移住促進パンフレットに「姫路市休日・夜間急病センター」ぐらいしか書くことがないのもわかる気がします。

空前の医学部ブームと言われる一方、数年後に医師あまりが発生するという人もいます。

医師あまりどころか偏在による医師不足が、数年後であれ数十年後であれ続く。
少なくとも姫路はそうだろうと思います。

移住促進パンフレットなら、子育て世代より全国の医師向けにつくるべき。
「姫路の医療は崩壊寸前。姫路を助けてください。」とかね。

地元の医師会の人たちは、そんなことを望んでいるかどうか(逆かも)知れないけれど。
(医師会が逆の意向であれば、政治家は医師会の票が欲しいから動かないだろうね)

政府が医学部の総定員を増やしたくないとうなら、せめて、東京大(または東京医科歯科大)、京都大(または京都府立医科大)、大阪大学(または大阪市立大)医学部の定員を減らして兵庫県立大に医学部をつくるとか、神戸大医学部の定員を増やすとかして欲しい。

他の都府県から枠を持ってこれない、兵庫県内の医学部定員を増やしたくないというなら、せめて兵庫県内の地域偏在を考えたいところ。
県内唯一の国公立大医学部の神戸大医学部を姫路や加古川あたりに移転するとか。
神戸と大阪は近いので、神戸にあると就職で都心の大阪に行ってしまいがちだから「離す」。
国公立大医学部の人気は高く、入学者の人気低下をあまり気にする必要がないので、田舎に移しても平気。

首都圏のうち、東京都心に偏在する医師不足の解消として、東京の国立医学部移転を提案しているかたもいらっしゃいます。

東京近郊、医師不足が深刻化…厚労省、無意味な制度推進で「医局」復活の時代錯誤(ビジネスジャーナル)
東京都内にある国立大学の医学部の移転だ。東京大、あるいは東京医科歯科大の移転を考えてはどうだろうか。この2つの大学には、大学院生まで含めれば1000人程度の医師がいるだろう。首都圏の医師不足を解決するための、即効性のある対策だ。
姫路駅北の統合病院や医療研究機関計画(神戸大や獨協医科大、県立大の協力があるとも言われる)が、そうした動きの第一歩となることを望みます。

参考
2007-12-07 もう例外ではない(新小児科医のつぶやき) - 病院から受け入れを五回以上拒否された件数は二〇〇六年は二百五十九件で、〇三年の三・六倍という。(引用記事より)
医学部定員削減を検討。地域偏在を就職枠で対応?(372log@姫路)
救急医不足深刻。広畑病院、循環器病センター統合へ(372log@姫路)
医者も「ふなっしー」もいない姫路(372log@姫路)
播磨に医者が少ない理由(372log@姫路)
獨協医科大姫路分校を開設。獨協学園が姫路市に最終意見書を提出(372log@姫路)
姫路で医療器開発。獨協医科大と神戸大、県立大(372log@姫路)

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Posted by miki at 12:40│Comments(0)医療
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