2012年04月12日

知られざるソニーの底力

路面電車もICカードで乗り降り自由(香港)

プレイステーションカメラテレビなどで有名なソニー

ソニー平井社長の所信表明--「ソニーが変わるのは今しかない」(cnet)
デジタルイメージング事業は、民生用機器、業務用機器、イメージセンサやレンズなど、3つの事業領域を合わせた新枠組みで展開する。独自技術であるイメージセンサやレンズ、信号処理技術などをスマートフォンなどへの製品に取り入れるほか、セキュリティカメラやメディカルなど業務用に展開することで、商品の差異化、収益の拡大を狙う。
(中略)
ゲーム事業では「発売から6年目、まさしく収穫期にある」という「PlayStation 3」(PS3)と、発売以降好調に推移している「PlayStation Vita」(PS Vita)、新興国で需要の高い「プレイステーションポータブル」(PSP)の3つのプラットフォームで利益を創出するとのこと。
ソニーは民需で成長してきた会社。しかし、今後は医療用など(放送機器以外の)業務用にも力を入れるとのこと。

実はソニーには既に業務用で成果をあげている事業があります。

幸福のICカード“FeliCa”のこれから(Business Media 誠)
1994年、ソニーの開発者達は、自らが作り上げ、未だ日の目を見なかった技術に1つの名前を付けた。「幸福」を意味する“Felicity”と、”Card”を組み合わせた造語。幸せのカード、非接触IC「FeliCa(フェリカ)」の誕生である。
それから10年余り。FeliCaは鉄道と決済を軸に、目覚ましい成長と普及を遂げた。ふと街中を見渡せば、多くの人がFeliCaを内蔵したカードもしくは携帯電話を持ち、何かに“かざす”という利用シーンは日常的な光景になろうとしている。
ソニーにとっても、FeliCaは象徴的なビジネスになった。同社は映像・放送など一部の分野を除けば、コンシューマー市場の“民需”で成長してきた。
身の回りで言えば、JR山陽電車神姫バスなど交通機関のICカードはみんなソニーが開発した「フェリカ」カード。

ウォークマンが音楽スタイルを変えたといわれますが、都市部を中心にこれだけ通勤スタイルを変えた技術の中核にいたのも、やはりソニーだったわけです。

香港でもソニー製のオクトパスカードがなければ生活が不便なほど、コンビニや公共交通機関で浸透しています。

こうした社会を変えるようなインフラ事業は、日の目を見るまでに時間がかかる。単年度主義でばさばさ切り捨てていったら、決して育ちません。

トップが交代するのもリストラもいいけれど、一見、日の目をまだ見ていない技術や商品を根絶やしにしていまうことは、何とか避けて欲しいです。

参考
八達通(オクトパス)(wiki) - 八達通(オクトパス、はったつつう)とは、香港の公共交通機関などにおいて使用できる、ICチップを搭載した、非接触型プリペイドカード及びカード型以外の製品の総称である。(中略)オクトパスは香港で1997年9月に正式に導入され、公共交通機関のプリペイドカードとしては世界で最も早く、ソニーが開発した非接触型ICカード規格「FeliCa」(フェリカ)を採用した。(記事より)


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Posted by miki at 23:25│Comments(5)交通
この記事へのコメント
SONYですか・・・・(遠い目)
今、皆様のお宅の家電製品にSONY製がどれだけあるか、確認してみるとSONYのシェアがどれほどかがわかるんじゃないでしょうか。
但し、オーディオ関連に関しては、1970年代まではトップでしたね。
その輝かしいSONYの機器を使用して、京都市電全廃前日の車内生録のカセットテープをデジタル化したものを、MP3版で公開しています。
http://sai-kbg.serio.jp/780929kyoto-shiden/shiden-sound_download.html
Posted by 大熊@埼玉 at 2012年04月13日 19:03
大熊@埼玉さん

コメントありがとうございます。
Posted by miki at 2012年04月13日 20:34
フェリカは日本や香港などのいくつかの国や地域では普及していますが、国際化の点では失敗したようです。

普及は日本よりずっと遅かったものの、世界的には、欧州で主流のMIFARE(フィリップス)、米国で主流のType B(モトローラ)が一般的。
現在はフェリカも国際規格であるNFCの一方式(オプション)として標準化されていますが、事実上NFCといえばMIFAREとType Bで、どうもフェリカ(おサイフケータイなど)はガラパゴス化(海外の製品ではあまりサポートされない、海外ではほとんど使えない)しそうな雰囲気のようです。

これに似た状況にあるのが自動車の急速充電方式で、最終的には欧米規格に鞍替えせざるをえないみたいです。

主に日本メーカーが採用しているのはチャデモという規格で、既に日本国内では1000か所、海外でも1400か所程度設置されている状況です。
ただ、まだ開発段階であり、ちゃんとしたものはないのですが、国際化は欧米主導のコンボという規格になりそうな雰囲気です。

チャデモ陣営(主に日本メーカー)は反発していますが、多勢に無勢ですし、欧米メーカーにしてみれば、自方式を採用した方が特許などの点で有利ですし、チャデモが先行しているといっても普及はまだまだこれからという状況ですから、先行するチャデモは排除してしまえば、日本メーカーを追い落とすには好都合です。

日本メーカーが整備する設備では当面両規格に対応するでしょうが、海外メーカーや一般の設備では、まだ普及しているとは言えないチャデモのために余分なコスト(=複数の規格に対応すれば高額になる)をかけないでしょうから、
- 先行する日本メーカーを後発メーカー(新たに研究・開発・設備投資が必要)に追い落とせる
- 日本メーカーは既存設備を多額の追加費用をかけて作り替えなければならない
- 急速充電に対応しているといっていたはずの日本車は急速充電できるとことがほとんどない(≒事実上の欠陥品)
といったのダメージを与えることができますね。
Posted by たー at 2012年06月09日 14:04
たーさん

コメントありがとうございます。
Posted by miki at 2012年06月10日 00:09
またまた、古いエントリで恐縮ですが....

急速充電について、先日再統一の動きもあったようですが、結局日本方式はガラパゴス化しそうです。
日本メーカーが発売するEVも海外(欧米)ではコンボ方式に対応せざるを得ないでしょうし、おそらく、国内でもコンボが使えないと非関税障壁として問題になるでしょうから、国内の充電器もコンボに対応せざるを得ないのではないかと思います。

http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012101600304
Posted by たー at 2012年11月04日 03:05
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