2013年02月23日

LRTで街が活性化する可能性


(一般車両通行止めで事実上の)トランジットモール区域(姫路・大手前通り

昨年暮れ、LRT建設是非が市長選の争点となった宇都宮市。結果は推進派市長の当選。

「LRT反対」白票倍増 宇都宮市長選(下野新聞)
次世代型路面電車(LRT)導入の是非をめぐって争われた宇都宮市長選は、現職の佐藤栄一市長(51)が前回の8万票を上回る10万票を獲得し、3選を果たした。
(中略)
「多くて3万と読んでいた。よほどLRT反対票があったのだろう」。市議の1人はさしたる組織票を持たない河内候補の得票数をこう分析した。
推進派市長が勝利したとはいえ、多くの市民がLRT建設に賛同しているかは微妙のようです。

LRT導入は、街の活性化につながるといわれることが多い。さらに中心市街地のトランジットモール(公共交通&歩行者専用道)化も同時に語られます。

なぜLRTやトランジットモールによって地域は活性化するのか?(かまにし - 交通総合フォーラム)
LRT導入運動の中で、必ずといっていいほど語られているのが「トランジットモールの導入による地域活性化」である。
(中略)
「なぜトランジットモールの導入によって地域は活性化するのか?」。この問いに対して、筆者は「訪れる人々の街中での回遊の選択肢が増えたことで、結果的に1人あたりの立ち寄り数も増加したため」だと考えている。
上記筆者によれば、

1 LRT&トランジットモールの導入がなぜ、回遊(※)の選択肢を
  増加させるのか
  (※ 買い物や観光などで街を訪れる人々が街中をめぐること)

 1)回遊は徒歩で行われる(商品を探したり街並みを眺めるのに適す)
 2)自動車・自転車は置き場所を起終点にした回遊になる
 3)徒歩のみでは疲労が大きく回遊が続きにくい

 → LRT&トランジットモール化すれば、

 1)街並みを眺めながら歩かずに移動できる
 2)自動車・自転車の置き場所のバリエーションが増える
   (郊外パーク&ライド等)
 3)停留所の多いLRTは、乗車・降車地の自由度が高い

ここで筆者は重要なことを述べています。

1 LRTはバスでもいい(むしろバスのほうがいい場合も)
2 LRT&トランジットモールの導入は「回遊の選択肢を増やす」
  にすぎない

最後に、
LRTやトランジットモールを導入した海外の事例は、人々の街中での既存の活動や潜在的なニーズを捉え、これを忠実に具現化していった結果、たまたまLRTを導入していたというだけなのかもしれない。
と締めくくっています。

ほとんど同感ですが、姫路などの地方都市や地方都市在住者に関して言えば、回遊する能力の問題もあります。

地方の商店街に人通りがなくなった本当の理由(372log@姫路)
郊外店には必ず無料の駐車場が併設されていて、車を停めてから店内をうろうろして精算し、車に戻るまで、延べ50メートルも歩きません。
その結果、50メートルまでしか歩かない人たちを大量に輩出しました。鉄道社会の首都圏や阪神間では考えられないことです。
(中略)
車社会である地方都市の商店街に人通りがなくなったのは、鉄道社会の首都圏や阪神間に比べて、
「街歩きをできるだけの体力のある人が減っているから」
たとえ公共交通の停留所が近くにあっても、買い物した荷物をすぐにポンと車に載せるだけの腕力しか地方都市在住者にはありません。

表題の「LRTで街が活性化する可能性」は・・

可能性はあるかもしれないけど、油断ならんといったところでしょう。

参考
姫路駅前で一般車両通行制限-北駅前広場整備で2年間(姫路経済新聞) - 北駅前広場の整備完了後も同区間は一般車両の通行を制限しトランジットモール(公共交通と歩行者優先空間)化する構想もあることから、「通行制限を恒久化する可能性もある」と話す。(記事より)
姫路の風景 ~大手前通りトランジットモール化~(372log@姫路)
駅前をトランジットモール化。来月から始まる姫路の挑戦(372log@姫路)
地元・兵庫に、連接バスが走り出す(372log@姫路)
神姫バスが連接バスを導入(372log@姫路)
播磨に海外から熱い視線。架線レス路面電車(372log@姫路)
LRTを気軽に実現?広まるかBRT(372log@姫路)
フィレンツェにLRT。姫路にも軌道を「描こう」(372log@姫路)
LRT導入が知事選の争点(372log@姫路) - ヨーロッパのLRTは、ほとんどが税金で維持されているので、日本で同じようなことをやったら、間違いなく赤字になります。公共財は市民が負担するということと、公営交通の赤字を容認するというのは、ほぼ同義語です。私の住む町(姫路)では、市バスが赤字になったから、路線を縮小しようなんてことが言われてます。(ブログより)

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Posted by miki at 00:34│Comments(2)交通
この記事へのコメント
電車でもLRTでも、運用しだいですかね。
どちらも自転車を容易に載せられるようにしてくれると、自動車をやめて利用しよかなって気になります。
Posted by aw@bitlog at 2013年02月23日 21:55
熊本電鉄が自転車持込サービスをやっていますね。
http://www.kumamotodentetsu.co.jp/train/service/#ancMochikomi
Posted by miki at 2013年02月23日 21:59
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