2009年10月18日

ピント外れの羽田ハブ化論議

羽田空港

国土交通大臣の「羽田空港ハブ化」発言から、予想を超える大騒ぎに。森田千葉県知事の大げさなパフォーマンス「千葉県は怒りますよ」から一転、「今夜はよく眠れそうです」で、一旦は終息しましたが、火種は残っているとも報道されています。

13日のブログで、
ハブ空港にこだわりすぎる単純な論議にも疑問があります。
日本からせいぜい数時間のアジアに飛ぶのに、わざわざ乗り継ぎをしたい人はいません。
(中略)
大事なことは、航空利用者視点の利便性やコストパフォーマンス。日本にハブと呼ばれる空港があろうがなかろうが、そのこと自体に大した意味はありません。
と書きました。また、昨年9月のブログで、
「ハブ空港」というのは、主に供給者の視点です。しかし、ボーイングのいう「ポイントトゥポイント」というのは、乗客の率直な要求に基づいた発想です。787に代表されるように、航続距離が伸びていけば、今よりもハブ空港の役割は低下し、必要な都市間をダイレクトに直結するニーズが強まっていきます。アジアのハブ空港を目指してあらゆる航空需要を関西空港に集中させることに成功した頃、世の中の大勢は「ポイントトゥポイント」になっていましたというのではショックが大きいので、都市型空港の神戸伊丹を廃港にするのだけは思い留まって欲しいですね。
と書きました。

航空業界でも、「ハブ化」と「ポイントトゥーポイント」、つまり乗換型と直行型の2つの考え方が並存しています。
航空貨物の場合は、乗換型のハブ化で問題ありません。荷物は文句言いませんから。しかし、相手が人間の場合は、可能な限り直行型を選ぶ。供給者論理では乗換型、利用者論理では直行型を選択するのです。

供給者論理で乗換型が優位ということは、利用者側から見ると、低コストということ。だから、直行型を中心に考えつつも、コストバランスを考えて乗換型(ハブ化)も組み合わせていくと考えるのが妥当。

日本からの国際便の中で重要性を増すのは、アジア便。比較的短距離ということと、多様な地点への多頻度運航ということになり、全体的には乗換型(ハブ化)よりも直行型が主流になると思います。
ハブ化は補助的な役割に追いやられていくのです。

つまり、北米路線とアジア大陸を中継する成田のような国際間ハブ空港に比べて、(前原大臣が問題にしている)国内・国際ハブ空港は、小さな問題だということです。そもそも国際間ハブ空港の仁川と比較すること自体が議論の的を外しています。

交通計画・交通政策が専門の加藤浩徳氏は、「地方空港は海外と直結すべき」と言います。

地方空港は海外と直結せよ(日経ネットPLUS - 無料会員登録要)
日本には100弱の空港がある。日本航空の経営危機に絡めて空港の数が多すぎるという議論があるが、基準が不明確だ。収支をきちんと公開した上で地元住民が存続を判断すればよい。地方空港は海外との直行便を増やすなど利用客増の方策を打ち出すべきだ。
(中略)
すでに整備した空港は有効活用するのがまっとうな発想だ。地方空港は国際線を増やすのが利用客増の近道だろう。地方の住民が羽田空港経由で成田空港から海外に行くのは利便性に劣る。路線開設の自由化(オープンスカイ)が前提となるが、地方空港と海外を結ぶ直行便を増やせばよい。
(中略)
ハブ空港の発想は航空会社の論理だ。大型機で大勢の旅客を1度に運べば収益性は高い。顧客の利便性は乗り継ぎより直行便の方が高い。地方空港は羽田便の維持だけに注力するのではなく、アジア各国の都市と結ぶという発想の転換が必要だ。地方空港問題はアジアの中の地域間競争を勝ち抜く知恵を絞る好機だ。
特定の空港をハブ化したいというのは、その空港がある地域にメリットを及ぼすと考えられているから。羽田ハブ化に、東京神奈川の知事は評価するとコメントしているし、千葉の知事は激怒。関空ハブ化を唱えるのも大阪の知事です。

つまり、大抵の人は、国全体や利用者のことを考えて「ハブ」「ハブ」と言ってるわけではありません。地域間競争の一手段に過ぎない。あたかもそれが国全体のためになるとか、関西全体のためになるという言い方をしますが、惑わされてはいけません。

人の意見は、誰のために言っているのか(または言わされているのか)が重要ですが、「ハブ論議」では、地域間競争をそのまま反映した発言のオンパレード(笑)

事実、ネットで九州関連のサイトを見れば、熊本にハブ空港を・・とあるし、北海道にも千歳をハブ空港に・・とある。「ハブ空港」の持つ語感の魅力に溺れる地域がなんと多いことか。

現実の魅力は言うほどでもないような気がします。もう少し、冷静に・・

参考
【トップインタビュー】「PHP総合研究所」代表取締役社長 江口克彦氏(7)(九州企業特報) - 熊本は韓国・仁川を超えるハブ空港をつくればよい。(記事より)
国際ハブ空港への提言(中川義雄ホームページ)- 最適地は千歳・苫小牧地域(記事より)
ハブ アンド スポークス VS ポイント トゥ ポイント なのだ(初級者FS2004と(FSⅩ)日記)

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この記事へのコメント
今朝の時事放談で、野中広務氏も前原大臣の羽田ハブ発言について、「何で日本にハブ空港が必要なんだ」「地方空港から仁川に飛んだほうが地方空港のためにもなる」という趣旨の話をされてました。

メディアの報道では、ハブ空港=拠点空港 と説明してますが、Wikipediaでは航空業界で「ハブ空港」と言えば、「航空会社が事業戦略として決める」と説明しています。ただ広義には、「拠点都市を表すことがある」とも・・。

国土交通省と単なる(?)民間航空会社であるJALやANAとの関係を整理しないと、「何で民間航空会社の戦略を国土交通大臣が決めるのか?」という話にもなります。

いずれにせよ、どこをハブ空港にするかは、基本的には航空会社の問題。
そこに国が介入して、ああだこうだ、また地域間競争の政争の具に使い、大声で「ハブ」「ハブ」と騒ぐ首長は、見苦しいの一言です。
Posted by miki at 2009年10月18日 16:45
野中の発言かよ。
仁川擁護だね。
南朝鮮を利する発言。

日本国内で
日本各地空港→日本のハブ空港(乗換ラクチン)→外国
これが国内で簡単にできるなら、
日本から仁川への需要は減るだろう。
確実に。

日本国内で簡単に乗換ができるようにすることを、
なぜ反対するのだろうか?


一方、
姫路には空港なんぞ不要。
Posted by 日本人 at 2009年10月18日 22:50
日本人さん

コメントありがとうございます。
関空も頑張ってますが、仁川はベストエアポート1位と、人気がありますね。
Posted by miki at 2009年10月19日 21:45
あなたのおっしゃるとおりだと思います

ある調べものをしていて国土交通省の役人が
ハブ空港は航空会社が選ぶものみたいな発言をしていました

anaにとっては貨物は那覇空港がハブ空港ですし、

アメリカの航空会社などはアジアのハブは成田です

関空がハブになれなかったのも航空会社がハブ空港として運営をしなかったためです

なぜマスゴミ羽田空港にハブをこだわるのでしょうか

たぶん成田に行くよりも羽田に行くほうが近いためなのでしょう

地方の人からしてみれば成田空港だろうが羽田だろうが関空だろうが目的地につければ変わらないはずですし

また地方の人が仁川を使っても逆に韓国の大邸や光州などの地方の人が成田をハブにして使ってもかまわないはずです

韓国のハブ空港は成田でも別に良いはずなのです
Posted by きりん321 at 2009年10月20日 23:45
きりん321さん

コメントありがとうございます
Posted by mikimiki at 2009年10月21日 00:11
cheap ugg boots uk様

コメントありがとうございます。

>スカイマークが8月末から運休。

10月から運航再開です。
Posted by mikimiki at 2010年08月05日 23:03
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