2012年02月12日

供給者から利用者視点へ。機体の小型化と空港分散化

神戸空港

神戸空港も早いもので開港6年。いろいろ言われてきましたが、この空港の誕生はとても意義深かったと思います。

神戸空港開港6年 搭乗者4年ぶり増加(神戸新聞)
6年目の平均搭乗率は69・7%。SKYを中心に機体が小型化していることもあり、ここ3年は70%前後で好調に推移している。
(中略)
北関東から関西を訪れる際、東京を経由せずに来られる点が人気のようで、ほかに関西企業が北関東に工場を設ける動きも後押ししている。
利用者視点で見れば、機体の小型化とコンパクトな空港があちこちにあるのは望ましい。

北関東から、わざわざ混雑する首都圏に突入して羽田まで行き、関空まで飛んでからまた混雑する大阪市内を抜けて兵庫県まで行く、というのに比べれば、北関東の茨城から直接兵庫県に飛ぶことの意義は大きい。

一方で、供給者視点で考えれば、首都圏も関西も、どちらも一箇所になってくれるほうが望ましいわけです。

「飛行機は利用料金が高額で、仕事でも観光でも縁がない」と思っていた人にとってみれば、空港を国が管理してきたこともあって、「国の借金が増えているのに空港が多すぎるんじゃないか?」というメディアの主張に(供給者側でもないのに)賛同してきたと思われます。

ところが、こうした前提が変化してきました。

1 航空機の利用料金が低廉になってきた
2 航空機が小型化し、便数も増え、搭乗率も上がる傾向
3 空港運営を滑走路・空港ビル一体化。黒字化・民営委託化の動き

その結果、国民が利用者視点で、航空サービスや空港を見るようになりつつあります。

神戸市の経営面に問題はありますが、大きな流れで見ると、神戸空港や茨城空港の誕生とその後の展開は、日本の空を変える一助になると思います。

参考
国が管理の全国27空港、民間委託…コスト減・集客図る(YOMIURI ONLINE)
関東人を覚醒させる茨城空港(372log@姫路)
茨城-神戸に定期便。日本の空を変える第一歩(372log@姫路)
ピント外れの羽田ハブ化論議(372log@姫路) - 一時期、空港といえば「ハブ」「ハブ」と大騒ぎしていましたが、最近はあまり言わなくなりましたね。
関空とANA格安社がタッグ。小型機増加で滑走路混雑へ(372log@姫路)


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Posted by miki at 00:00│Comments(2)航空
この記事へのコメント
最近、小型機が増えているというのは、何も利用者の利便性を考えてのことではありません。航空会社の経営戦略です。

航空会社にとっては、閑散時に空席を埋めるために、格安券を乱売するより、機体を小型化して、搭乗率を上げることを優先しているのです。ことに、経営再建中だったJALは、この施策を推進した。

このため、便数は増えないのに、機材だけ一方的に小型化される路線が目立った。搭乗率は上昇したが、今度は混雑期の利用者を断ることになった。
伊丹空港では、機体小型化の影響で、一時は19百万人いた利用者が、13百万人を割ることになった。

このため、スカイマークは、B737への統一方針を変更し、幹線には大型のA330を導入する。

しかも、機材小型化は、着陸料収入の減少により、空港の経営にはマイナス要因です。

小型機が増えるから、どこでもここでも空港が作れるなどという状況ではありません。
Posted by かにうさぎ at 2012年02月19日 10:42
かにうさぎさん

コメントありがとうございます。

利用者がどういう志向をしようと、供給者はできる範囲のことしかしないと思うのです。
需要と供給というやつです。
さまざまな要因の結果、現れた現象をどう理解するかは意見がいろいろあると思われます。
Posted by miki at 2012年02月19日 15:41
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