2009年01月03日

経済学を何のために学ぶのか?



(↑ 書籍画像を掲載したくてアフリエイトリンクを使用)

新自由主義を牽引してきた多摩大学中谷巌教授が「新自由主義は誤り」と、懺悔の書を出しています。
構造改革の急先鋒であった著者が記す「懺悔の書」
金融恐慌、格差社会、環境破壊、食品汚染、すべての元凶は新自由主義にあった!
言ってることは国民新党亀井静香氏がテレビで言ってるようなことかもしれませんが、亀井さんが言うと抵抗勢力になり、中谷巌氏がいうと、時代が変わったのか?と思わされます。中谷巌氏は、入門マクロ経済学などという経済学のテキストを出していますから。(これ、私も持ってます)

別に新自由主義の旗を振ること自体、間違っていたわけではないと思います。行き過ぎはいずれ是正されるだけのこと。学者は極論を論じるのが仕事なんですね。
だから、また別のことを言い出したら、「また始まったね」という冷めた目で見ることも必要に思います。学者はどこまで行っても学者。ただ経済学者が不要とは思いません。羅針盤なしに企業活動であれ家計であれ、経済活動を行うなどというのは無謀でしょう。

問題は、付き合い方。経済学者の言うことを鵜呑みにしない。試験管にAとBを入れたらCに「なりました」と言っている人たちではないし、実業の世界では成功しそうにない人も多くいます。付かず離れず、適度な距離感が必要です。(ただし中谷巌氏は民間企業の社員や役員歴もあります。)

わかりたいあなたのための経済学・入門 (別冊宝島 82)にこんなコラム漫画がありました。
ある学生が教授に質問をします。
「何のために経済学を学ぶのですか?」

すると教授はこう答えました
「経済学者の言ってることに惑わされないためだよ」

参考
経済学者・中谷巌氏の懺悔(ニコブログ)
『資本主義はなぜ自壊したのか』 中谷巌を読む。(モモログ) - 冷静に評価するなら、消費者的な「みんな」にそこ、是非この本を読んで欲しいと大推薦してしまうしかない。それは中谷さん一流のテクストの読みやすさも含めてである。かなり読ませる。経済学の入門書にもいいかもしれない。(ブログより)
改革派経済学者の「懺悔」(ちくさ通信) - 階級意識の残る欧米においては、新自由主義的経済学も結局はエリートが大衆を支配するための道具であった。(ブログより)
資本主義はなぜ自壊したのか/「日本」再生への提言(逝きし世の面影) - 私がアメリカに留学していた三十数年前のアメリカと現在のアメリカはあまりにも違うのだ。(ブログより) ← 要するにどんなに良いことも、行き過ぎれば良くないということでしょう。
今度は、ブログ!(372log@姫路) - 1 極論を論じてみることは必要。しかし、現実は中間あたりをゆく。2 行き過ぎはいずれ是正される。(ブログより)
【正論】三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、多摩大学教授 中谷巌(MSN産経ニュース)(09.01.04追記)

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Posted by miki at 00:00│Comments(2)社会
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この記事へのコメント
TB有難うございます。

失礼ですが、中谷巌氏の主張は、『どんなに良いことも、行き過ぎれば良くない』と言う様なブローバル資本主義の運用の間違い(行き過ぎ)ではなく、新自由主義(グローバル資本主義)の持ってる『悪魔の碾き臼』としての根本的な欠陥の話です。

中谷巌が見た三十数年前の豊かなアメリカは、現在の新自由主義とは対極の経済思想で30年以上かけて造られた貧富の格差の少ない中産階級が主体の社会で、有る意味20数年前の日本自身の姿でもあったわけです。
アメリカは30~40年周期で経済政策が変化していて現在はレーガン以来の新自由主義の行き着いた格差社会で、新自由主義本来の姿でも有ると考えられます。
Posted by 逝きし世の面影 at 2009年01月03日 15:42
逝きし世の面影さんへ

コメントありがとうございます。

>中谷巌氏の主張は、『どんなに良いことも、行き過ぎれば良くない』と言う様なブローバル資本主義の運用の間違い(行き過ぎ)ではなく、新自由主義(グローバル資本主義)の持ってる『悪魔の碾き臼』としての根本的な欠陥の話です。

了解です。

ここからは私の考えです。

××主義というのは、考えのことです。現実の政策は考えに基づいて実施されるとするなら、どんなバカな考えに基づいて実施されようが、実施された政策が良ければ、良かったということになります。

いま、××主義に基づいてある政策(例えば、郵政民営化)が実施されたとします。我々が見なければいけないのは、実施された政策が良かったかどうかということ。
もし、政策が良かったというなら、政策を実施する際に参考にした××主義の存在は、(一応)評価すべきです。
しかし、だからといって、××主義が万能とか、いかなる政策も××主義に基づいて実施すればいいということではないでしょう。

政策遂行者は学者ではないので、結果が問われます。中谷氏がよりよい経済学のテキストを追求するのは自由だし、小泉元首相が参考にしたテキストは間違っていたというのも自由なのですが、行った政策は独立して評価されるべきと思います。
Posted by miki at 2009年01月04日 02:02
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