2008年10月30日

驚異の生産革新。次世代ものづくりも姫路から

山陽網干駅(姫路市網干区)

団塊世代の大量退職で、技術伝承が問題になっていますが、姫路に主力拠点を持つ化学メーカー・ダイセル化学工業では、ノウハウをIT技術に統合することにより、技術伝承と生産性の大幅な向上を実現しました。ダイセル網干工場(姫路市)に全国のさまざまな業界から見学者が殺到しています。

大企業が教えを請う“ダイセル式”カイゼン活動(1)(東洋経済オンライン)
さまざまな業界から、この網干工場を見学に訪れた企業は延べ500社、約4000人に上る。まさに“ダイセル詣で”とも呼ぶべき光景だ。
化学、医薬品など、素材から中間財を製造する業界は、自動車のような組立・加工産業と異なり、製造工程が見えにくく生産革新が難しいと言われてきました。しかし、その常識を覆したのがダイセル網干工場です。

組立・加工産業では生産の様子が視覚的に捉えやすいのですが、素材産業では必ずしも実際の製造品が目で見えるわけではなく、オペレーターが機器類を監視しているに過ぎません。
そこで、生産現場を改善するためには、経験を蓄積したオペレーターの判断や思考をヒアリングする必要があります。ダイセルでは熟練したオペレータ1人に2人以上のインタビュアーが、各計器ごとに、どのような値を示したらどのような行動をとるのか、すべて確認していきました。
「ダイセル方式」と呼ばれる生産革新法の特徴の1つが、徹底したヒアリングにより、見えないものを「ミエル」ようにすることです。

ダイセル網干工場の生産革新は、製造原価 20%削減、生産性(一人当たり付加価値) 3倍増、工場従業員数 60%減、オペレーション負荷件数 80%以上削減、アラーム発報数 80%以上削減という高い定量効果を上げました。
ダイセル方式の事例が新聞や雑誌、経済産業省のサイトにも掲載されており、今後さまざまな業界で益々有名になることでしょう。

参考
化学/プロセス産業における革新的生産システムの構築(生産革新研究会) - 本報告で事例として取り上げるダイセル化学工業(株)は、兵庫県姫路市の網干工場をモデル工場として生産革新に取組み、次世代型化学工場への変革にむけて様々な改革を推進してきた。その成果は、化学業界のみならず、繊維・フィルムといった業界にも広く語り伝えられ、既に約400社、約4000人が工場見学に訪れている。さらに、網干工場を一つの理想型と捉えた見学者からの依頼を受けて、同社は他社に対する生産革新の指導を開始し、プロセス型産業における生産革新の一つの先進的モデルケースを提示しているところである。(報告書より)
「ダイセル化学における生産革新の取り組み」(ダイセル化学工業)
化学産業における生産革新(Chase Your Dream !) - 今夏には、朝日新聞社の社説にも取り上げられました。
世界の化学拠点・姫路(372log@姫路)
広畑・網干が元気になってきた(372log@姫路)

← 1日1回クリックして頂けるとRankが上がります


同じカテゴリー(観光)の記事
 ジャパネットのクルーズ船がツアーを中止しない理由 (2020-02-29 14:10)
 ミルクボーイ風漫才「姫路市立動物園」 (2019-12-31 13:12)
 松江と姫路 (2019-11-17 12:04)
 姫路・堺・宇治 の世界遺産めぐり (2019-10-03 02:36)
 鎌倉にかなわない横浜 (2019-09-25 00:00)
 16万件のいいね。注目のツイート (2019-07-19 01:35)

Posted by miki at 00:00│Comments(2)観光
この記事へのコメント
企業というものは利益のためなら不可能なことでも可能にしてしまうくらいどんな努力でもするもんですね。その努力を労働者の待遇向上にもしてほしいものです。本気を出せば労働時間の短縮や有給休暇の完全消化なんてすぐにできるでしょうに。
Posted by 労働者 at 2008年10月30日 04:18
労働者さん

コメントありがとうございます。

労働人口の減少が、労働者を大事にする方向にいけばそうなりますが、、
労働者過保護により、労働者を雇うリスクが大きくなれば、産業構造の変化を抑制する恐れも出てくるかも。
Posted by miki at 2008年10月30日 09:48
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。