2015年09月24日

「夢見るリベラリスト」 vs 「夢見るパワーポリティシャン」



米国は、タカ派的傾向がある安倍政権を、「アジアの緊張感を高め、米国の国益を損なうのではないか」と懸念、「尖閣をめぐる日中の紛争に、自国を巻き込まないでくれ」と考えている。

こう言うのは、防衛庁(現防衛省)出身で、元内閣官房副長官補の柳澤協二さん。

安倍と柳澤とどっちが異質な存在か(赤松正雄の 忙中本あり)
柳澤さんはそれ(鳩山政権)を、「パワーポリティックスに頼らない安保戦略を模索したが、それは実現の具体的手段を伴わない意味で、『夢見るリベラリスト』というべき戦略性のない戦略だった」と切り捨てる。と同時に返す刀で、安倍政権を歴代自民党政権が憲法に正面から挑戦することになるがゆえに露骨に追及を避けてきたパワーポリティックスを追及しようとする政権だとして、その危険性をあげつらっている。曰く「実現可能性のない国家目標を追及しており、それは鳩山政権との対比で言うと、『夢見るパワーポリティックス』だと。より正確に表現すれば、「夢見るパワーポリティシャン」であろう。
で、なんで安保法制をつくるかというと、安倍さんが「やりたいからやる」以外に説明がつかないのだそうです。

【検証・安倍政権の安全保障政策(1)】元防衛官僚が斬る集団的自衛権の“正体”(ダイヤモンド・オンライン)
尖閣諸島に対する中国の脅威とか、北朝鮮のミサイルの脅威とかさかんに強調するけれども、しかし冷静に考えてみれば、尖閣の問題というのは、すぐに戦争に結び付く話というよりは、双方のナショナリズムを政治がどうコントロールするかという課題であるわけです。北朝鮮のミサイルの話で言えば、これはもう伝統的なアメリカの抑止力が完全に機能している。北朝鮮に今そんな本格的に戦争を起こすような国力があるとは、専門家は誰も思っていない。
これからも説明を丁寧に続けていくとおっしゃる首相ですが、われわれ凡人に理解できる日が来るのでしょうか。

鳩山政権の「夢見るリベラリスト」が理解し難いと同様、安倍政権の「夢見るパワーポリティシャン(武力政治家)」も理解し難い。
考えている次元が違うのでしっくりこない。そして、説明が足りないということになるのかもしれません。

P.S.
ちなみに、安保法制賛成の有識者は、このわかりにくさについて、以下のような説明をしています。

【安保法制】賛成派の有識者は何を語ったか(6)~立命館大学客員教授・宮家邦彦氏の陳述から (BLOGOS)
今回の法案が、たしかに多数の法律の修正というものを伴う、わかりにくいという議論があることは承知しております。しかし、その理由はちゃんとあるんです。
最大の理由は「ポジ・リスト」か「ネガ・リスト」かの違いであります。主要国の安全保障法制というのは基本的に「ネガ・リスト」であります。すなわち禁止条項を列挙し、それ以外は実施可能とする構造です。だからこそ各国はシームレスな対応が可能になっています。
ところが、日本では「ポジ・リスト」。すなわち、実施可能なもののみを列挙して、それ以外はできない。このような虫食い状態ですから、臨機応変の対応をしようと思えばどうしても、いかなる状態に、危機的状況にも対応できるようにするためには、この「ポジ・リスト」を拡大していくしかないのであります。だからこそ、基本の法令の修正が多くなってしまう。
この説明は、肝に銘じる必要があります。

今後、日本を取り巻く環境が変われば、再び新たなポジティブリストを作ったり修正し、そのたびに「説明が不十分」「わかりにくい」の声が続きます。
今回、安保法制ができたからといって、これでおしまい。絶対安全というわけではありません。

「いちいち変更がこんなに複雑では、国民は理解できない」「迅速に判断できない」として、
次のステップとして、「ポジ・リスト」から「ネガ・リスト」への変更の話が持ち上がると思います。
その道を選択するかどうかは別として、憲法改正時には、必ず出てくる。

戦争がなくならない理由(海国防衛ジャーナル)
紀元前ギリシャの歴史家であるトゥキディデスは、人間とその集団の行動の源泉が名誉、恐怖、利益にあるとしました。
戦争が起きる要因は、名誉・恐怖・利益のどれかだと言われることがあります。

戦争は、相手のあることです。
抑止力を高めれば戦争が必ず起きにくくなるというわけでなく、高め方によっては相手に恐怖を与え、それが契機で逆に戦争になることもある。
他国の名誉を傷つける行動が戦争を起こすこともある。
ネット上や一部メディア、政治家にも、そういうことに鈍感な人がいます。
懸命な国民なら、「抑止力」を呪文のように唱えれば戦争を防ぐことができると、単純に考えたりはしません。

「パワーポリティシャン」には限界がある。もっと言えば、「夢」なんです。

参考
政府説明「不足」71% 安保法 本紙ネット調査(神戸新聞NEXT) - 国会審議などを通じた政府、与党の説明を「十分」としたのは8%。「ある程度、説明した」は18%だった。「足りなかった」「全く説明していなかった」が計71%に達した。(記事より)
自衛隊は、みゆき通りの爆弾テロを防げない(372log@姫路)
66歳の赤松正雄代議士が引退。今後は姫路で活動(372log@姫路)
この本を読んでいれば、総理を辞めずに済んだかも(372log@姫路)
来月、東京湾に再び原子炉がやってくる(372log@姫路) - 中国軍の脅威がわが国メディアで報じられるのと同様、中国でも在日米軍の脅威が報じられます。(中略) 軍事抑止力に絶対はないし、終わりはないというのが人類が歴史に学ぶところです。(ブログより)

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Posted by miki at 00:00│Comments(2)政治
この記事へのコメント
姫路の話題を取り上げていただき、
長いあいだ楽しませて頂いています。
ただ最近の話題は、政治的に偏った意見が目立ちますね。
姫路という冠でサイトを立てられているのであれば、
政治的な話は外していただきたいですね。
あくまでも筆者の自由でしょうが。
やや度が過ぎておられますね。
Posted by ひめじ at 2015年09月24日 20:59
ひめじさん。ご意見、参考にさせていただきます。
(一応、今日のところは赤松元代議士のブログを引用させていただいてるので、姫路とまったく無関係でもないと思います)

ちなみに今日も、姫路に関係ないクルマの話題になってしまいました。
VWの隠れファンなもので、本当にショックでした。
Posted by mikimiki at 2015年09月25日 00:28
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