2019年06月01日

高校生に知って欲しい。医師不足を緩和する方法

鳥取大学医学部鳥取県米子市

医師の地域偏在に悩む兵庫県ですが、県内唯一の国公立医学部が、推薦入試の配点で地域重視の加点をやめるそうです。

不適切入試 神戸大医学部、今後は特定地域重視の配点行わず(神戸新聞NEXT)
神戸大は31日、医学部の推薦入試地域特別枠で過疎地域出身の受験生に不適切な加点をしていた問題で、2020年度入試(19年度実施)以降は特定の地域を重視した配点を行わず、書類審査や面接、口述試験で地域医療への意欲と適性を重視して選抜する方法に改める、と発表した。
神戸大学は兵庫県のことを考えて、神戸や阪神間に医師が偏在する状況を緩和するために西播磨出身者などを優遇していたのに、やめてしまうと。
募集要項に明記して継続・拡大すら期待していたのに残念です。

医学部のない地域は、2重の意味で医師不足になりやすい。
1 近所に医学部がある高校生は医学部を受験する
 比率が高い
2 医学部のある地域に他所からやってきて、その地域に
 居着いてしまう学生が何割か存在する
だから医学部のない地域で医師を増やそうと思ったら、
方法1 その地域から医学部を受験した高校生を
   優先して合格させる
方法2 その地域の高校生の医学部受験比率を高める
が、考えられます。
今回、(医師不足に困らない地域の)マスメディアの餌食になったためか、方法1が閉ざされたので、方法2をいっそう強化する必要があります。

医師不足の都道府県はどこだ〜人口10万人あたりの医師数(田舎女医の小言)
わりと全国どこにでも、医学部修学資金というのがあります。その都道府県で、医師として規定年数働いてくれることを条件に、学費や生活費補助するよ、という仕組み。
(中略)
奨学金(…借金)とは、ちょっと違います。その分、卒後「その地域でご奉公」すれば、返済不要なものです。(それを裏切って出て行くと、金利がすごい借金に化けます)
兵庫県には従来より兵庫県立病院医師修学資金(中播磨及び西播磨枠)という給付制度(1~4年生:月額125,000円、5~6年生:月額175,000円)があります。条件は、卒業後直ちに下記5つの病院のどこかに勤務すること。
姫路循環器病センター製鉄記念広畑病院姫路医療センター姫路赤十字病院赤穂市民病院
兵庫県の西部地域に対する危機感は、半端ないということがよくわかる制度です。

ちなみに、この制度は全国どこの大学の医学部に進学しても構わないので、(地元医師養成の観点から言うと)無駄に難易度の高い神戸大学に入る必要は(必ずしも)ありません。
距離的に近所の香川大徳島大、地続きがよければ鳥取大や島根大あたりが姫路から便利で比較的入り易い。
参考。国立医学部なら問わないという受験層のため毎年変動が激しく、細かい数字は意味なし)

国立大学は学部問わず授業料同額で、地方国立大学だと生活費も都会に比べると安い(可能性)。
総合大学の医学部だと、二次試験は他学部との共通問題も多く、いわゆる難関大学のような難問は少ない。
さらに、二次試験に英語が無いとか、理科がないという学校まであります。

地元の医師を増やすためにできることは、何よりも医学部を受ける人、医師を目指す人を増やすこと。
そのためには、その地域で医師を目指すことも選択肢に入れる高校生を増やすことです。
医師(や県会議員)の親じゃなければ医師になれないというような、誤解や偏見を解消する教育も必要です。

高校生に一言。
少子高齢化が今以上に深刻化します。将来の課題に真正面から立ち向かう職業の一つが医師です。割に合うとか合わないとか以上に、将来の社会の課題に真正面から取り組み、生涯勉強を続けることができる人に、ぜひ医師を目指してほしいと思います。期待しています。

参考
医師の偏在/育てる仕組みで引き寄せる(神戸新聞NEXT)
医師不足で業務縮小。姫路医療センター(372log@姫路)
全国有数の医療過疎地・西播磨に25点、中播磨に10点加点(372log@姫路)

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Posted by miki at 07:52Comments(0)医療