2014年12月03日

21世紀のマルクス

21世紀の資本

今春、米国で発売されるや半年間で50万部のベストセラーになった「21世紀の資本」の日本語版が、今月9日に発売されます。

21世紀の資本論(Wikipedia)
資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、資産金額で見たときに上位10%、1%といった位置にいる人のほうがより裕福になりやすく、結果として格差は拡大しやすい。
資本主義は金持ちに有利にできていて、金持ちはより金持ちに、貧しいものはより貧しくなる。

「そんなの当たり前じゃん」と思う人もいるかもしれません。
でも、米国にはアメリカン・ドリームという神話があり、恵まれない自分にも成功のチャンスはあるはずだという社会的公式見解(?)がどこかにあったんじゃないでしょうか。

ところが、実はそんなことはなくて、フランスの若き経済学者が「そんなことない」と言い、米国のノーベル経済学者が絶賛したため、火がついたんでしょう。

米国ほど日本にアメリカン・ドリーム神話は定着してない上、日本では(米国にほとんどない)マルクス経済学が主流を占めていた時期があります。

マルクス経済学は、資本主義を分析して、多くの矛盾を指摘。社会主義共産主義への移行の必然性を説いています。
米ソの冷戦時代には、米国では(敵国の教義たる)マルクス経済学が研究できるはずも無く、それが今となっては米国経済学界の弱い部分になっているかもしれません。

資本主義を前提として分析した近代経済学
資本主義を包括的に分析したマルクス経済学。
日本ではマルクス経済学と近代経済学という2本柱でクルマの両輪のように研究されてきました。

米国は片輪で来た。米国経済学界や米国民が、そのツボにはまったんじゃないでしょうか。

日本版は果たして売れるのか。
米国ほどではないにしろある程度売れるかもしれません。

そこには、資本主義側の勝利という形で冷戦が終結した後、辛酸を嘗めてきたマルクス経済学者の鬱憤をはらす意味合いがあるように思います。

参考
ピケティ『21世紀の資本論』はなぜ論争を呼んでいるのか(日経BPネット)
21世紀にマルクスはよみがえるか(池田信夫 コラム&ブログ)
日本でのマルクス経済学(Wikipedia) -日本の経済学界では戦後しばらく講座派労農派らによるマルクス経済学が主流であり、終戦直後の傾斜生産方式による戦後復興はマルクス経済学者(有沢広巳)による発案である。(記事より)
尊敬する政治家。レーニン、サッチャー、鄧小平(372log@姫路)
蘇る?マルクス経済学者(372log@姫路)

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Posted by miki at 23:02Comments(0)文化