2009年12月07日

神戸空港の機能評価と経営評価を分けるべき

神戸空港

神戸空港を何とかしようとしているのに、恩を仇で返されたという感じでしょうか。

米軍基地問題で橋下氏が批判 「神戸市は勘違い甚だしい」(47NEWS)
大阪府橋下徹知事は4日、関西、神戸両空港での米軍航空機訓練の受け入れの検討を否定しない考えを示したことについて、神戸空港を運営する神戸市から抗議を受けたと明らかにし「自分たちの空港だから口を出すなというのは勘違い甚だしい」と強く批判した。
(中略)
「何とかしたいという思いで3空港問題を考えている。『いちいち口を出すな』と言うなら、3空港問題から神戸空港を除いて神戸市で全部責任を取ればいい」と言い放った。
神戸市が勘違いが多いという指摘はその通りだと思うのですが、「そこまで言うか」って感じですね。マスコミを通じてはっきり言わないと、気付かない神戸市関係者が多いという親切心なのかもしれないですが。

神戸市長の発言は、確かに自分勝手な印象があります。

空港の一元管理3空港同時に 矢田神戸市長(神戸新聞)
関係者の間には、関空伊丹の一元化を確立させた後に神戸を加えるとの考えもあるが、矢田市長は「利用者の利便性を図るには、神戸も一緒に一体的な形でやるべき」と述べた。
「具体案は難しい」 橋下発言に兵庫知事ら否定的(琉球新報)
矢田立郎市長は1日、記者団に「そもそも神戸空港は市民の利便に資するように造られており、(軍用機の)移設は議論の余地もない」と受け入れる考えのないことを強調した。
神戸市長というのは、神戸市民の選挙で選ばれるので、神戸市民のための空港を造ったり、神戸市民のためになることをやればいいわけです。
土地を埋め立てて売却することで空港建設費を捻出し、市民に税負担をかけないというのもグッド(?)アイデアです。さすが株式会社神戸市と言われたこともあるだけに、偉い(?)。

ではなぜ、3空港一元管理をやるべきというのか。神戸市民のために神戸市のやりたいように運営すればいいではないか。3空港一元管理がいいというなら、最初から神戸市が市営の空港を造らなければいいわけです。

神戸新聞にある「利用者」は、関西全体を指しているのか、神戸市民を指しているのか不明だったのですが、琉球新報には「市民の利便」とあるので、市長が想定する「利用者」は、概ね神戸市民を指すようです。

神戸空港の利用者は計画段階から、神戸市だけでなく、大阪方面も想定されていました。神戸市民以外の利用者もあてにしていたのです。(現実は大阪の需要はさほどでもなく、むしろ空港空白地帯の東播磨などが利用者数を支えています)

つまり当初から、神戸市民だけで成り立つ空港ではありませんでした。ただ、目的はあくまで神戸市民のため、神戸発展のために計画された。しかも神戸市民には税負担をかけないという美味しい話でした。

現在の神戸空港は、搭乗率もそこそこだし、スカイマークという神戸空港を愛する航空会社もいるし、ANAも飛んでいるしで、決して悲観すべき状況にはないと思います。要因としては、空港空白地帯の東播磨など、予想以上の潜在ニーズがあったからだと思います。
悲観すべきは、建設費を賄うはずだった土地がほとんど売れずに、また売れる目処も全くないことです。

まとめると、神戸空港の計画は杜撰でした。利用者規模だけは偶然そこそこ当たりましたが、予測の内訳は的はずれ(大阪方面を過大評価し、東播磨を過小評価していた)だし、建設費がまともに払えていません。

神戸空港は、(現在よりももっと西にあったほうがベターだったとは言え、)潰すにはもったいなすぎるほど需要があるし、今後も需要を見込めると思いますが、経営としては失敗だったと言えます。

「神戸市のための空港」は失敗し、「関西の中の1つの空港」としての機能は今後も期待できるし、活かすべき。
にも関わらず、「神戸市民のための空港ですから」という言い訳で、米軍練習を「議論の余地すらない」と言ったり、「3空港一体」と言ってみたり。

われわれ凡人には、理解しかねる厚かましさを感じます。

参考
搭乗率13%。懲りない「勘違い」都市・神戸(372log@姫路)
関空、神戸空港で米軍訓練?(372log@姫路) -  沖縄の負担を考えたら、「議論の余地なし」と思っている神戸市民ばかりではないと思うのですがね。現神戸市長も、さすがに三選目は、ヤバかったみたいですし。

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Posted by miki at 00:00Comments(6)航空