2006年12月23日

伊丹空港を阪急のターミナルに

 伊丹空港伊丹市


JR西日本が、近畿のあちこちで新駅を建設し、私鉄の乗客を奪っています。

JR西が新駅建設ラッシュ 京阪神の乗客争奪戦(産経関西)

こうした新駅の多くは駅間の距離が長い場所に設けられるが、競合する私鉄が新駅効果でJR西に乗客を奪われるケースも目立つ。
(中略)
山陽線では昨年3月に曽根御着間(約4・1キロ)の兵庫県姫路市に「ひめじ別所駅」が開業したほか、同市の英賀保網干間(約5・7キロ)でも20年春の新駅開業を目指している。

英賀保−網干間にできる播磨勝原駅も、山陽網干線に影響がでるかもしれません。

かつて、阪急京都線の特急に乗っていたとき、平行して走っていた国鉄の新快速がガラガラだった記憶があります。関西で、私鉄と国鉄の競争は、圧倒的に私鉄が勝利を収めて来たのです。しかし、今やそんなことは過去の話。

JRは、財力、施設などどれもが阪急などの私鉄を凌駕しており、私鉄は勝負にならず手をこまねいています。
しかし、JRが手を出せない(出さない)分野があるのです。それは、いま流行の空港アクセスです。

海外の空港に行くと、空港の地下に駅があり、市の中心部まで10分程度で行けることが多くあります。ヨーロッパでは、空港の地下駅からそのまま各都市(場合によっては、隣国の都市)へ高速列車で繋がっているケースが珍しくありません。

中国も例外ではないようで、空港をターミナルと捉えて、そこに5路線もの交通機関を引き込み、乗り換えを一体化しようとしています。

5路線が乗り入れ 上海地下鉄の乗り換えターミナル(人民網)
虹橋ターミナルは、今の虹橋空港を基礎にして改修が行われ、航空機、鉄道、地下鉄、バスなど多様な交通機関の乗り換えが一体化されるほか、さらに2号線を含む5路線も引き込むことになる。

空港を単なる「飛行機乗り場」と捉えるのでなくて、交通ターミナルの要(かなめ)と捉える必要があります。
その点、大阪湾に突き出た人工島の関西空港神戸空港に比べ、伊丹空港のロケーションは交通の要として光ります。また、(航空機と競合する)新幹線駅に比較的近く、国内線が主力のためJRは伊丹の空港アクセスには及び腰です。(※)
(※)関空特急「はるか」や成田エクスプレスなど、新幹線と競合しない国際線が主力の空港アクセスにはJRは熱心です。

まず阪急は、伊丹空港に乗り入れた上、ここを主力ターミナルと捉え、路線網を再構築すべきです。
京浜急行電鉄は、羽田を始発として東京、横浜方面に直通列車を走らせ、羽田国際化でさらにこうした戦略を強化しようとしています。(参考 イザ!:京急が羽田に「国際ターミナル駅」 空港再拡張そなえ
国内線の要となる羽田のアクセスを良くすることは、新幹線の競争力を相対的に下げるため、JRが参入することができなかったのです。

スピードと運賃といった、体力勝負でJRに勝つことができない以上、JRの弱みを丹念に探すことが今後、私鉄が生き延びる道でしょう。

P.S.
阪急蛍池駅は伊丹空港から徒歩15分。モノレールに乗り換えれば2分ときわめて近接した場所を走っています。既に、阪急蛍池は急行停車駅になっていますが、一歩進めて伊丹空港に乗り入れて十三を経由して大阪、京都、神戸・姫路方面に直通列車を走らせることを考える必要があります。

参考
空港アクセスを見る視点(372log@姫路) - 山陽電車神戸空港1dayチケット。JRはこんなチケット出しません。
首都圏の空港アクセス(372log@姫路) - 阪急は乗客に乗換えをさせることをなんとも思わない節があります。過去の栄華が忘れられない哀れな殿様商売にしか見えません。創業者小林一三のターミナル商法を誤って理解しているのではないでしょうか。小林はもっと庶民の味方だったと思うのですが。傲慢なPiTaPaのカード戦略も意味不明です。3ヶ月後に関東私鉄がPASMO(パスモ)を始めれば、磁気カードで培ったスルッとKANSAIの成功分まで一気にかき消されるほど、PASMOとPiTaPaは差がついてしまうと思います。

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Posted by miki at 08:12Comments(0)鉄道