2006年08月02日

京都、大阪の路線価上昇。神戸は低迷

  鉄道中心社会・三宮センター街神戸市

首都圏京阪神の大都市の路線価が上昇。対して全国的に地方都市は続落です。これをもって、首都圏在住のマスコミ人は、「地方都市の衰退」と一言で片付けたがります。たとえば以下の記事見出し。

路線価:都市部と地方、格差鮮明に(MSN毎日インタラクティブ)

果たしてこれは本当なのでしょうか?

そもそも、多くの人が郊外に分散して住み、郊外店で買い物をし、クルマで通勤する人が多い地方都市生活で、路線価が果たしてどれほどの意味を持っているのでしょうか。地方都市を、首都圏や京阪神の都市と比較する前に、地方都市における駅前の価値そのものが、急速に下がっていることを念頭におく必要があります。

路線価は駅前の地価だけでなく、いくつかの調査地点があります。しかし、分散型クルマ社会で比較的均一な地価の地方都市と、人の集中や偏りが発生し、特定の高地価を持つ鉄道中心社会の首都圏や京阪神の都市を、一概に比較するのは困難です。まして、過去においては地方都市でも、公共交通機関
によって人の集中が発生し、それとの比較で現在の価格が下がっている面もあります。
鉄道中心社会の大都市部と、地方の路線価を比べて格差が拡大していたとしても、それをそのまま都市の勢いの格差と読み換えるわけにはいきません。

私は新潟県に行ったとき、「××駅まで徒歩5分」ではなく、「××インターまで1.5キロ」という分譲住宅地の広告を見ました。姫路でも、公共交通機関の案内はかなりいい加減でも、クルマ2台停められることは一目でわかるような広告が常識です。最近では、クルマ3〜4台停められるとか、「建築プラン例」で、クルマを出し入れしやすい土地のレイアウトを具体的に示すぐらいでないと「売り」になりません。

それに対して、首都圏や京阪神では、JRや私鉄の駅を中心に住宅地があり、駅は買い物や通勤の要となります。駅を中心に考えると駅の近くと遠く、便利な駅とそうでない駅という風に、土地に格差ができやすく、地価が上がりやすくなります。鉄道中心社会が頑として生き続けている首都圏や京阪神では、路線価の格差はそのまま都市格差と言ってもいいでしょう。

路線価で都市格差を語るなら、次のように京都大阪と、神戸の格差拡大に注目すべきです。

大阪圏の路線価、バブル崩壊後初めて上昇(YOMIURI ONLINE)
上昇地点の7割は大阪、京都両市内で、マンション建設の活発化に伴う「都心回帰」や、古都観光の人気が影響したとみられる。一方、神戸市はいまだ震災の影響から抜け出せず、低迷が続いており、近畿の三都で明暗が分かれた形だ。
(中略)
京都市の昨年の観光客数は4727万人で5年連続過去最高を更新。観光客増は名所が点在する市全域の地価を押し上げる要因となっている。日本不動産研究所
京都支所は「『セカンドハウスが欲しい』とマンションを買う東京の人もいる。京都ブランドの人気は本物」。
(中略)
三宮センター街入り口の薬局店長(46)の表情はさえない。「アーケードに入る人が減った。震災で家の二重ローンを抱える人も多く、大阪や京都と購買力が違う」。

路線価のデータは、首都圏・京阪神と、地方都市を比べるのではなく、首都圏や京阪神の中にある都市同士を比較してこそ意味があります。

P.S.
私は、地方都市ではクルマがあれば駅前なんか不要だ、どうなってもいいという(そういう人はたくさんいますが)人間ではありません。地方都市でも公共交通機関が好きな人もそれなりに生活できたほうが楽しいと思いますし、私もそのうちの一人です。

参考
72、路線価格・・・(キャンピングカーが欲しい)
路線価が上がってるらしいじゃないの(ぷりりんぐな日記)

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Posted by miki at 00:09Comments(2)社会