2005年01月14日

IBMパソコン撤退で、「神戸」が見える

神戸・六甲アイランド

神戸は山が海岸に迫り土地も少なく江戸時代までは一寒村で歴史も蓄積もありませんでした。国家戦略として明治の開国とともに港が造られ、ここを通じて人、モノ、金が入ってくることにより貿易都市が形成されました。
神戸にとって、「港」は切っても切れない重要な存在です。

昨年末、こんなニュースがありました。

IBMがパソコン撤退

天下のIBMでも、パソコンシェアTOPのデルにはかないません。しかし、デルのパソコンは、なんであんなに安いのでしょうか?

デルは、生産コストを抑えながら、在庫を持たずに流通コストも抑え、かつ顧客の多様な組み合わせに応えることができる受注生産のしくみを創りました。
例えば、日本からの受注情報はマレーシアのペナン工場に送信され、組み立てられた製品は、ペナン空港から専用機により成田空港へ空輸後、成田のロジスティックセンターから顧客別に配送されます。所要日数は平均5〜6日とか。

デルのビジネスモデルを成立させているのは、航空輸送。これ抜きでは語れません。

パソコンはあくまで一例で、世の中は、海運から空輸にどんどんシフトしています。
現代は地球規模の分業体制で世界を相手にビジネスを行うことが、常識になりました。
海運でのんびり運んでいてよいものが伸び悩み、空輸の割合が急増しています。

このため、貿易の主役が横浜や神戸から、成田や関空に移行しつつあります。
2003年に、貿易額で神戸は関空に追いつかれ、横浜は成田の半分になりました。

主要港別輸出入額より)

横浜 10兆円(1990年)→9兆円(2003年)
成田 10兆円(1990年)→18兆円(2003年)

神戸 8兆円(1990年)→6兆円(2003年)
関空 3兆円(1995年)→6兆円(2003年)

神戸だけを見ていると「震災の影響だよ」とか「関西が元気ないから」と見誤る危険があります。横浜まで含めて見ると、これが世界的規模でおきている構造変化によるものだということが見えてきます。

神戸にとって「震災復興」というのは、震災以前に戻るのではなく、構造変化を見据えた「未来への前進」が必要になります。

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Posted by miki at 06:45Comments(8)社会