2009年02月15日

定額給付金の懐疑報道。背景とその深層心理

テレビ朝日東京・港

小泉元総理の発言で、再び注目を集める定額給付金。先月のブログで、「増税だと文句言うのに、減税、しかも税金納めてない人にまで払い戻しするというのに、なんでそんなに大騒ぎして反対するのか。」と、定額給付金反対者のあまりの多さ、熱心さが理解できないと書きました。別に名案だとは思いませんが、そこまで必死に反対するほどのこともないと思ったのです。
ブログのコメントにも手厳しいものがあって、「自分の感覚がおかしいのかな?」とも思いましたが、論理的には説明が付きません。

結局のところ、多くの国民が反対する理由は、「テレビで反対している人が多いから」ということのようです。「おまえKY(空気読めよ)」と言われているんだなと。

そこで、マスコミがそれほど必死に反対するのはなぜかを自分なりに考えてみました。

マスコミは今、ピンチに立たされています。
もちろん経済不況もありますが、長期的に言ってもインターネットの普及で、高い購読料をわざわざ払って新聞を取る人が激減しています。また、インターネットを視聴する時間がテレビ視聴の時間を抜いたとか、インターネット広告が人気でマスコミの広告が減っているなど環境がどんどん悪化しています。循環的な不況とは別に、マスコミは構造不況業種なのです。

テレビを観ていると、タレントが「局の弁当が貧相になったとか、なくなった」という話題をすることがあります。広告料金が思うように取れなければ制作費もかけられません。出演者の弁当なんて出さずに済めばそれに越したことはありません。

姫路の竹中平蔵さんの講演会の冒頭、紹介があったのですが、「あのフジテレビ関西テレビ系の東京キー局)が、今年の1月2日か3日のどちらかに、正月番組を再放送特番だけで済ませてしまった」そうです。
これまでの常識から言えば、正月番組は1年のうち最も制作費をかけるのが当然。それを再放送特番で済ませてしまったのですから、さすがに業界に衝撃が走ったと言います。

制作費がかけられなくて視聴率を取るためには、真面目にドラマなんか作ってる場合ではなくて、ワイドショーとかニュースショーで、ニュースフィルムを使い回して、交通費がかからない局の近所に住んでいる評論家とかコメンテーターを呼んで適当なことを言わせるというのが、安上がり。社員の局アナが司会をすればさらに完璧です。
どうせネタにするなら、一国の総理についてああだこうだ言わせたほうが視聴率も上がるし、一見、高尚なことをやっているように見え、ぎりぎりの品位も保てます。(実体は別ですが)

そこにもってきて、今年は解散総選挙で政権交代。これほど視聴率の上がるネタはない。
だから内容はともかく総理を叩いて解散総選挙にもっていけば制作費を大してかけずに視聴率がとれるというわけです。

この、「制作費をかけずに視聴率をとる」という効率経営にいち早く気付いたのは、テレビ朝日(朝日放送系の東京キー局)です。テレビ朝日は、制作費のかけられない深夜の時間帯に長時間討論会を開いたらどうかという企画を、ジャーナリストの田原総一朗さんから持ちかけられ「朝まで生テレビ」という番組を始めました。なぜ朝までかというと、真夜中に番組が終わったら出演者に帰りのタクシー代を払わないといけない。電車が動く朝までやろうということだったそうです。(高砂の講演会で言ってました)

テレビ朝日の報道姿勢は、右とか左とかというよりも、良く言えば中立、悪く言えば「騒いだほうが勝ち」みたいなノリです。固定的な信念があるわけではなくて、まあいわば野次馬ですね。その点では当ブログにも近いかもしれません。(オイオイ)

野次馬的に見れば、安倍福田麻生と総理がコロコロ変わったあげく、麻生がまた持たなくて選挙をやって政権交代なんてことになれば、こんなに面白いことはありません。
もちろん、幸か不幸か民主党が政権をとれば、今度は民主党が如何に政権担当能力がないかを話題にしていける、格好のネタになるわけです。

つまり、その時々で最も面白いストーリーが望ましいのですが、当面は「政権交代」というとてつもない話題性、言い換えると視聴率の金の卵に向けた流れを邪魔するものは、できるだけ阻止したいということじゃないでしょうか。

一方でマスコミ側のかたをもつ意見を言うとすれば、そうした「野次馬的政治的興味」を望んでいる視聴者も少なからずいる、つまり「ニーズに応えているという」ことです。言い換えると、そういう視聴者がいてこそ、マスコミ業界の安上がり視聴率稼ぎ戦略が成り立つのです。

国民が政治に無関心というのはリスクがありますが、しかし、総理の一挙手一投足までがネタとして茶の間を闊歩するというのも行き過ぎのように思います。
最近では役所などのホームページも充実しているし、議員がブログも開設しているので、テレビや新聞以外でも情報を入手することが容易です。テレビや新聞は大いに参考にはなりますが、それだけで全てを判断するのは、ややリスクが高い気がしています。

P.S.
役所のホームページと言えば、国土交通省のホームページで「国土交通行政インターネットモニター」というのを見つけたので応募しました。こういうのも気軽に応募できるようになったのは、一昔前に比べると様変わりの感があります。

参考
麻生内閣「支持」が33%、「報道は揚げ足取り多い」は79% - ニコ動世論調査(マイコミジャーナル) - 「麻生内閣に対する報道各社の姿勢への印象」では、「揚げ足取り的な報道が多い」との意見が79%を占めた。(記事より)
2008年の平均年収、1~3位はやっぱり"あの"業界が独占!(マイコミジャーナル) - 定額給付金が「たかが12000円」と思ってしまう深層心理は、マスコミ業界が最も守りたいこの高年収からくるのかも。
[コラム] 「読まれなくなった新聞」 ―新聞の機能は何か?―(IBTimes) - 新聞業界の採算悪化が伝えられている。世界的不況による広告収入減少も一因であろうが、基本的には世界的な新聞離れがある。(記事より) ← 前述の竹中平蔵さんの講演では、「最近、新聞にやたら書籍の広告が増えた」という話がありました。広告が取れないために、特別安い価格で出版社に枠を開放し、品位を保っているそうです。
新聞を読まなくなった日本人(372log@姫路) - 30代男性は、1975年に80%が新聞を読んでいたのに対して、2005年には29%しか読んでいないそうです。(ブログより) ← よく○○新聞の調査によるアンケートというのがあります。以前であれば国民はだいたい新聞は読んでいるという前提があるわけですが、今や世代によってはそもそも新聞を読んでない人のほうが多いので、たまたま電話がかかってきたからと言ってそんなに真剣にアンケートに答えてるんだろうかとか、例えば読者アンケートだったら本当に民意を反映しているのか?という基本的なところにすら疑問があります。
楽天 営業利益、経常利益とも過去最高に(日テレNEWS24) - 景気が落ち込む中、消費者の節約志向が高まり、外出を控えて家で過ごす「巣ごもり消費」がみられることや、価格の安いネットショッピングを楽しむ人が増えていることが要因とみられる。(記事より) ← (これまで存在しなかった)ネットで利益を上げる人がいるということは、どこかが食われているのでしょうね。循環的な経済要因だけでなく、構造的な要因もあるように思います。
景気対策も民主主義優先?ホームページでアイデア募る(372log@姫路) - 環境省に意見を応募した話題。
特需呼ぶ台湾版「給付金」…百貨店売り上げは1割以上増(YOMIURI ONLINE) - 台湾当局が、景気浮揚策として、約2300万人の全住民を対象に1月18日から配布している3600台湾ドル(約1万円)相当の商品券「消費券」が、一種の特需を巻き起こしている。(記事より) ← 商品券だったことが勝因とか書いてますが、いくら期限付き商品券でも当面必要な消費を商品券で買って、もともと必要だった生活資金を貯蓄に回す可能性も日本では指摘されていました。要するに、やる気があるか、如何にマスコミが盛り上げるかにかかっているのです。マスコミがあれこれマイナス面ばかり強調すれば、どんな経済対策だって失敗します。
給付金狙え!食品・宿泊・ツアー…1万2千円商品が続々(YOMIURI ONLINE) - 「定額給付金カニセット」や「一足お先に給付金宿泊プラン」――。消費が急激に冷え込む中、定額給付金の支給を当て込んだ商品が、続々と登場し始めた。(中略)ズワイガニをインターネット販売する「東京ずわい屋」は昨年12月、「定額給付金カニギフトセット」の販売を始めた。価格は、生ズワイガニ3匹にカニみそなどで1万2000円。18歳以下と65歳以上の給付額2万円に合わせた豪華版も用意した。通常より1~2割安で、すでに約200セット売れるなど好調だ。(記事より) ← どこの国の話かと思いきや、日本の話。まさかもう配らないとか言わないよね。
ピンチをチャンスに。「至上最大の愚策」も使いよう?(372log@姫路) - 地方自治体は、せっかくの給付金をなんとか活かそうと待ち構えています。
台湾で消費券ブーム。定額給付金成功への秘策(372log@姫路) - 政策給付金は世界各国で配布されているのに、麻生さんが言い出すとなぜかマスコミの総叩きに合うのです。
もったいぶるな、さっさとくれ(372log@姫路) - どうせならさっさと配って欲しいですね。

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