2015年08月25日

研究倫理の崩壊過程? 進む「軍学共同」



戦後、軍事研究に距離を置いてきた学術会に、変化が起きています。

日本の学術界、軍事の侵入を懸念(2015年5月7日付け Nature "News in Focus" 和訳)
第二次世界大戦後から、日本は確固とした平和主義をとってきた。研究者の中には、先月防衛省が研究基金制度を開始したと知り、狼狽した者もいる。合計額―初年度で3億円(250万米ドル相当)―は国家による研究基金の合計を考慮するとわずかでしかないが、研究者の多くは、その基金が不吉な徴候であると見ている。
政府は「軍民両用(軍事にも民生にも使える)技術の積極的活用」と言っています。
人によっては、軍事研究ではなく軍民両用だったらいいんじゃないかと、抵抗感が減るかもしれません。
でも、最初から研究目的の一つとして軍事が入っていれば、秘密研究にせざるをえないケースも出てきます。

姫路出身の池内了先生も、ずいぶん心配されています。

記者の目:戦後70年夏 科学界から=千葉紀和(東京科学環境部)(毎日新聞)
政府は「軍民両用(デュアルユース)技術の積極的活用」を掲げ、それに呼応するように資金援助を受ける研究者や、研究指針を改める大学が出始めている。
(中略)
国立大法人化などで国の交付金が減った。「研究者は飢えている。問題は科学技術を用いる側にあると、割り切る人も増えた」。研究倫理に詳しい池内了・名古屋大名誉教授(宇宙物理学)は指摘する。
軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール署名
防衛省は、大学や研究機関を軍事研究に取り込む「軍学共同」の動きを強めています。例えば、防衛省防衛技術研究本部と大学・研究機関との間で締結された共同研究の件数は、2010年ごろから加速的に増加する傾向にあります。
「軍学共同」が進みはじめている(世界平和アピール七人委員会)
防衛省が2015年から「安全保障技術研究推進制度」と名付けた競争的資金制度を発足させ、軍事利用できる技術開発を目的とした大学や研究機関の研究者への研究費の支給を決定した。研究費不足に悩む研究者が多い状況につけ込んでの制度と言えるだろう。このような資金が大学に入るようになると、公開できない秘密研究が堂々と行われるようになるだけでなく、軍事研究に動員される学生への悪影響が心配される。
憲法を重要視する戦後平和主義は、研究者の倫理にも影響を与えてきました。憲法を見直し、軍事力こそ抑止力、すなわち平和維持装置と考えるなら、軍事研究も秘密研究も否定しにくくなります。

一方で、軍事研究の魔力は絶大。日本の民生技術力は、軍事技術に距離を置いてきた故、力をつけてきた面もあります。
(桁違いの軍事予算で研究すれば、家電のきめ細かい工夫や精緻な技術、低価格技術は育ちにくかった等)

日本は稀有な技術力を持った国ですが、この力を、今後何に使っていき、世界に貢献できるのか。
少なくとも戦後70年は、ずいぶん世界に貢献してきたと感じます。

これからは・・どうする?

参考
進まぬ東大「軍事研究解禁」 産学官協力に悪影響(産経ニュース) - 人型ロボットの開発を進めてきた東大の研究者ら有志が平成24年、東大は肌が合わないとして離れ、ベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」を立ち上げた。(記事より) ← ベンチャー立ち上げの文脈が、理解できませんでした。
東大「SCHAFT」はなぜ日本を去ったのか(WEBRONZA) - まず資金調達。日本のベンチャーキャピタル(VC)は長期投資に耐える資金力が乏しく、どうしても短期で利益を出そうとする。そのためカネと時間がかかるメカニック系ベンチャーを敬遠しがちだ。(記事より)
SCHAFT開発とGoogleの買収、ロボットビジネスの今 稲葉雅幸教授インタビュー2(東大新聞オンライン) - 大学を離れた理由は諸説あるが、稲葉教授は「それに集中したいという彼らなりのチャレンジでした」と語る。(記事より)
東大「軍事研究認めない」 「解禁」の一部報道を否定(朝日新聞デジタル)
東大が軍事研究解禁 軍民両用技術研究容認 政府方針に理解(産経ニュース)
池内兄弟が提示する「楽しい未来にする方法」(372log@姫路)

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