2011年01月09日

高速道路は大部分が無料化へ



高速道路は、大部分が無料化される見込みであることがあらためて確認されました。

高速、大部分を無料化=渋滞緩和進めば-馬淵国交相(時事ドットコム)
馬淵澄夫国土交通相は7日の閣議後記者会見で、高速道路の原則無料化について「かなりの部分がされていくと思う」と述べ、将来的に高速道路の渋滞緩和が進めば、大部分の区間が無料化されるとの見通しを示した。
高速道路無料化の基本的な考え方については、田中さんの意見に同感です。

日刊田中けん・高速道路無料化を断固支持する(田中けんWeb事務所)
なぜ日本国民は、「税金」には拒否反応を示し、「通行料金」には不満を言わず対価を支払うのだろうか。
高速道路関係の借金総額は約40兆円と言われる。高速道路から、通行料金を取ろうが、無料で通行させようが、そう簡単にはなくならない。これからも延々と高速道路を作り続けていくことは問題だが、もう既にできあがってしまった高速道路を、仮に潰してしまったところで40兆円は返ってこない。
つまり運営費よりも、建設費にコストがかかりすぎた高速道路は、一度できてしまうと、この借金は何をしてもなくならない。他の特殊法人のように、事業を止めることで、毎年いくらかの税金の無駄遣いがなくなるというものではない。建設されてしまったこと自体が、無駄遣いと言えば無駄遣いだった高速道路が、全国にはたくさんある。
運営コストがそれほどかからずに利用できる社会資本があるならば、それを無料にして、より多くの国民に使ってもらうことこそが公共利益の増大に合致する。私が何度も「公共物の有効利用」を主張するのは、無料化が一番利用頻度を促進させるからだ
中国自動車道についても、みんな同じようなことを考えているのですね。

地方の高速道路は更に無料化が必要 - 予算ゼロで(つれづれ草)
地方では高い料金をとっている区間が多い。いまはどうか知らないが、以前に中国自動車道を走ったときに、西宮北インターから西方面はガラガラだったことを覚えている。あまりにも高い料金なので走る車が極端に少なかったのである。
(中略)
地方で有料の高速道路が無料化されると、国道を通過するだけのトラックとか車は、信号があり事故を起こす可能性もある国道を利用せずに高速道路を走るのは明らかである。だから通行する車の数が少ない地方の有料区間は個別に検討して出来るだけ早く無料化が必要である。
斉藤さんは一般国道と有料道路の二重投資が弊害を生んでいると指摘しています。

誤解される高速道路無料化政策 斉藤淳(SYNODOS JOURNAL)
バイパスから3キロほど西に行くと、山形自動車道が開通しています。この有料高速道路は多額の費用をかけて建設され、1997年10月30日に開通しています。多くの住民が熱望し、地元の総力を挙げて建設促進へ向けて陳情活動を展開したにもかかわらず、道路料金が高いため、一日あたり交通量は2000台程度でした。料金収入で建設費用を償却しようとすれば、金利を無視しても100年以上かかり、有料道路として維持するのはそもそも無理です。
(中略)
最初から山形道を片側2車線で整備していれば、350億円程度の費用で、7万2000台の交通容量を確保できたはずです(1億円あたり205台)。どちらが効果的な投資か、複雑な費用便益計算など行わなくても明らかです。最初から無料の高速道路をつくったほうが、3倍以上の投資効率を上げることができたのです。
斉藤さんは、料金徴収設備やそのための用地買収など有料道路の構造上の無駄が大きい点も指摘しています。

大前さんも具体的な高速道路無料化政策を政権に提示しています。

無思慮に騒がず本質を見抜くこと~大前研一版「高速道路無料化」と「年金制度改革」のロジック(BLOGOS)
高速道路は「国道0号線」として扱い、現在の国道予算(税金)の中に組み入れます。
ただし、これだけでは累積債務を解消することはできないので、10年間プレート課税を導入するという方針も示しました。
超高齢化社会で、すでに存在する女性、高齢者にも積極的に社会参加が期待されるのと同様、すでに存在する地方の高速道路にも(休日に限らず)フル活躍してほしいと思います。

参考
高速道路無料化 4年かけ取り組む課題と国交相(INTERNATIONAL BUSINESS TIMES) - 馬淵大臣は社会実験の結果として、「(無料化された高速道路の)交通量が2倍に増え、平行する一般道は逆に交通量の2割減少、渋滞解消などの効果も確認された。物流や観光においても一定の効果が図られている」とした。(記事より)
高速道路無料化ふたたび(Masa in SV)
フリーウェイ・アイランド沖縄(372log@姫路)
官民から高速道路無料化拡大の声(372log@姫路)
中国・山陽自動車道を無料化しよう(372log@姫路)


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Posted by miki at 01:00│Comments(10)クルマ
この記事へのコメント
いつも拝見させていただいてます。
高速道路の料金には受益者負担という考えは政府にはないのでしょうか。私は車を持っていませんし、近くに交通機関もありません。いわゆる交通弱者です。高速道路の無料化なんて無縁です。そんな予算があるなら弱体化しつつある地方の公共交通網を整備してほしいです。
Posted by ゆう at 2011年01月09日 01:53
ゆうさん

コメントありがとうございます。

斉藤さんは、一般道路と同様、道路に受益者負担という概念はなじまないと書いてます。

高速道路については、いろいろ考えるところがあります。

確かに高速道路に巨額予算をかけること自体は問題が大きいですが、すでにかけてしまった予算に対してできたものを有効活用する観点から、
運用に巨額予算がかからない範囲において、有効活用する策として無料化するのは妥当な気がします。

無料化実験で違和感があるのは、無料化に予算がいくらかかるだの、予算がないから限定しただのといった、金額が算出されることです。
そんな巨額予算を民営会社に払わないと維持できないとしたら、その金はいったいどこに支払われているのか。そもそもその道路民営化たるものがおかしかったのではないか。
純粋に道路を維持するためのお金としてそんなにいるのかという疑問です。

また、道路会社が抱える借金が40兆円あるけど、それをどうやって返すのかとか。

その話と、地方でバカ高い高速道路を徴収することによって、料金所という関所をつくり、せっかく存在する社会資本を使わずに放置している話とは、また別次元の話だと思うのです。

一方で、おっしゃるような公共交通網の整備は今後ますます重要だと思います。公共交通網の整備は日本のように山国で人が住める平地が限られ、特定の箇所に集住している国では、むしろやりやすいはず。
しかも高齢化がどんどん進んでいるので、必要性もあがっています。
にも関わらず、たとえばヨーロッパに比べても、本気で整備していこうという姿勢に欠けていますし、国民自身も安易にマイカーに頼っている気がします。
Posted by miki at 2011年01月09日 18:09
高速道路無料化も結構ですが、あえて厳しいことを言います。

わたくしが思うに、そろそろ国民は安易なマイカー依存をやめるべきです。
現在三十路のわたくしと同世代、あるいはそれよりいささか若い世代では、長い景気の低迷もあってか、徐々にながらも車離れが進んでいるのですが、「真に車が必要なときには借りればよく、わざわざマイカーを持つ必要はないに等しい」といった考えもあるのでしょう。
そんなわけで、わたくしは若年層の車離れに賛同しています。
また、彼等若い世代が、弱まりつつある地方圏の公共交通網の建て直しを先導することにも期待したいですね。

わたくし自身、車を持っていません。
以前から、実家の母に「車は頼りすぎるとタバコ同然になるから極力持つなよ」と再三にわたり戒められてきており、それを厳に守っているためです。
その考えに照らすと、マイカーも頼りすぎれば、タバコ、アルコール、ギャンブルなどと同じように「マイカー依存症」になってしまうのかも知れませんね。

そうであるなら、高速道路で無料にすべきなのは医療・物流関連と路線バスのみとして、マイカーは引き続き有料のままにすべきでしょう。何でもお国のせいにせずに、国民自らマイカー依存の危険性を認識し、猛省する理由があるのはそのためなのです。
Posted by ラクスの使い。 at 2011年01月10日 00:41
ラクスの使い。さま

コメントありがとうございます。

>以前から、実家の母に「車は頼りすぎるとタバコ同然になるから極力持つなよ」と再三にわたり戒められてきており、それを厳に守っているためです。

散歩がてらに歩いても行けるような距離にある自販機まで、車でタバコを買いに行くというのも、地方都市ではありがちな風景ですね。

車も必要な人には必要ですが、確かに麻薬的な魅力があります。

ところで、世の中には高齢化が進むといつまでも運転できるわけではないのだから公共交通に頼らざるを得ないという論と、
高齢化が進んで体が思うようにいかないからこそ車に頼るようになるという論がある気がします。

身障者用の特別車も販売されていますし、足腰が弱くなっても運転できる車が開発され、今後需要が多ければ、多くのかたに手が届くようなリーズナブルな価格で販売されることもありうると思います。

高齢運転者が増えれば、高齢者でも比較的安全に運転できる車が開発されるなど、高齢者だからといってすべての人が運転を一斉にやめてしまう必要も、徐々になくなるかもしれません。

車の制御技術の面でいえば、最近では自動停止技術のテレビCMをやっています。高齢運転者を支援するような使い方にも今後進む気がします。

一方で公共交通のほうも、オンデマンドバスとか情報化することにより、これまでよりも安価で便利に使うことができる技術やしくみが開発されていくでしょう。

いままでの公共交通vsマイカーという単純な議論だけで、超高齢化社会を乗り切れるとは思えません。
Posted by miki at 2011年01月10日 19:06
卵が先か鶏が先かになってしまいますが、姫路市外近郊はまだましですけど、例えば神河町とかバスは各路線で一日1~数本程度なので、自家用車ではあっという間のちょっとした移動が一日がかりとかになってしまったりするのですよね。
Posted by たー at 2011年01月13日 02:22
たー さん

コメントありがとうございます。

自家用車が自分で運転できる場合はいいですが、そうでない人や
訪問者などは、
もっとデマンドバスとか乗合タクシーみたいなものをいっぱいつくれ
ないんだろうかと思います。

いま、自動車メーカーは環境一色ですが、ローコスト無人運転とか
そういうこともアピールしないのでしょうか。
皆が皆、いつまでも運転できるわけでもないので、
全国的に大問題になっていく気がします。

いまは元気印の中国市場だって、2050年頃には超速高齢化が大
問題になるわけですし。
Posted by mikimiki at 2011年01月14日 01:28
無料化で自家用車の利便性を上げることは田舎は別として
都市部や代替手段がないところはどうなんでしょうかね。
たこフェリーも予測通りあのような事となり、車以外は淡路島にはまともに移動できなくなりましたし、
粟生線も来年度に廃線決定になるかもしれません。
まぁ三木鉄道を潰す公約の市長を当選させた自家用車大好き市民は、粟生線も無くなることは織り込み済みだったとは思いますが
・・・まさか三木鉄道だけ潰れて粟生線は残るなんて甘いことは考えてませんよねって話です。

元画像場所が見つからないので、あれですが
http://livedoor.2.blogimg.jp/news4vip2/imgs/c/6/c6f4a4c7.jpg
こうやってみるとスカスカの道を自家用車で埋めるのは簡単ですが
混んでいる道は有料化して自家用を抑制することも必要かと
一律で全部無料とするのはどうなのかな、とは思います。

最近姫路バイパスが無料化で混むから海沿いにもう一本作るんだという
街頭演説している人もいますが・・・自家用車規制すればイッパツ解決ですね。
Posted by 市中心部はレンタカーで十分 at 2011年01月15日 00:07
市中心部はレンタカーで十分 さん

コメントありがとうございます。

>海沿いにもう一本作るんだという

姫路バイパスが無料である以上、播磨臨海道路が有料だったら姫路バイパスが緩和されるわけではないと思いますが
海沿いにもう一本作るんだとおっしゃられているかたがたは
そのあたりは、どう考えられているのでしょうかね。

阪神高速神戸線は混んでても阪神高速湾岸線は空いいて、懸命に誘導しているみたいなこともあるように、似たような料金ですら誘導は難しいですから。
Posted by miki at 2011年01月15日 23:44
そもそも「無料化の予算」ておかしいですよね。
道路会社になってしまったせいでしょうけど。

都市部はともかく、地方部は無料化することにより、かなりの渋滞削減、
CO2削減効果があるだろう。国道は大渋滞、高速はガラガラなんてことはよくある話だ。
よく地方にでかけるが、旧道があって、「新道」「バイパス」「バイパスのバイパス」になっちゃってるところがよくある。そこへ「高速」ができちゃうんだから、それこそ「無駄」であると思う。これを「高速は高い。国道は無料で通れるからラッキー」とはいかない。国道作るのにも税金が投入されている。

よく高速無料化で、フェリーが廃線、国道沿いのお土産店が打撃、などと報道されているが、おかしい。そもそも高速が開通した時点で大方の予想がついているはず。経営努力もしないで取材に頼り、お涙頂戴とはこれいかに。
高速だって一生懸命作ってくださいって、お願いしたんでしょうに・・・

あとクルマ持っていないから関係ない、不公平といっている方。日本の物流はトラックに支えられているんですよ。最近は貨物列車も見直されていますが。毎日食べている食物、着ている服などは、トラックで運ばれてくるんです。飛脚が持ってくるわけではありません。

バスが増えればクルマがいらないってのも・・・
そもそもみんなが乗らないから、地方の鉄道は次々廃線になり、バスは縮小され続けてきたのですよ。

いまさら公共機関が一生懸命コミュニティバスを走らせても、みんなで乗らなきゃ空気を運ぶんだよ。結局CO2いっぱい出ちゃうじゃない。そしてその維持費は・・・税金。

クルマが増えれば環境が・・・とはいってもクルマがないと今の人間は実質生活できないのですから、使わない・・・より、無駄に使わない。とか、排ガスをキレイに、とか、エコ運転、とか言ったほうがいいと思いますよ。

国道0号線のアイデアはいいと思います。ただ、今の民主では政策がへたくそなので、結局他で増税食らいそうですが。
Posted by aki at 2011年01月29日 12:57
akiさん

コメントありがとうございます。
Posted by miki at 2011年01月31日 20:02
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