2004年12月26日

空港の整備 vs 道路予算

世界の航空旅客予測

その昔、米国のルーズベルト大統領は、未曾有の不況を目のあたりにし、公共事業を増やして雇用を確保する政策を採りました。日本でも最近まで公共事業で景気を良くしようという政策は普通に行われてきましたし、今でもその有効性を語る人は多くいます。
しかし現在では、一般人から見れば、「公共事業は何でも無駄に見える」と言ってもいいほど嫌われています。許されるのは、福祉とか教育のように聞こえのいいものだけ。それ以外のハコモノを連想させるものは極めて厳しい環境にあります。

ところが意外なことに、一旦とった予算は、それが例え要らなくなったものでも、翌年もその翌年も順調に消化されていきます。
極めて厳しいのは、「これまで無かったけど、これから必要な予算」です。

つまり、過去に必要だった予算は、それがどんなに不要になっていても温存され、未来に必要な予算が確保できない構図があり、それが問題の核心です。

例えば、私が小さい頃、兵庫県でも舗装されていない国道や県道はたくさんありました。過去において道路予算が必要だった時期があることは確かです。しかし、今では生活道路まで含めてもそんな道路は珍しくなりました。

この要るのかどうか怪しい道路予算が、毎年11兆円ですからたまりません。別にすべて不要と言ってる訳ではありませんが、例え10%でもいいから、ここから将来必要なものに回したらどうかとは思いませんか?

これから必要なものと言って、同じ交通分野でまず思いつくのが空港です。
(財)日本航空機開発協会「平成15年度 民間航空機および関連産業に関する調査研究 にある、世界の航空旅客予測のグラフを見れば、自ずとわかるのですが、これから世界的に航空機輸送の需要が激増します。10数年で倍増の勢いです。
まして島国の日本がアジアの一員として国境を越えて活動するには手段は飛行機しかありません。

にも関わらず、いまだに国際空港は成田で十分とか関西に空港が3つも必要か?とかのんきなことを言う人が多いのです。参考までに神戸空港の事業規模が3000億円。
わざわざ深い海を埋め立てて造ってもその程度。道路に毎年11兆円もの大金を注ぎ込んでいるのに、3000億円規模(毎年ではなく1回きり)の空港だと大騒ぎと言う日本の世論こそが、真の問題です。

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Posted by miki at 01:23│Comments(5)航空
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この記事へのコメント

再度のTB有難うございました
考える土台の相違で様々な意見があってしかるべしですし、
また考える機会を与えていただき感謝いたしております。
事業を推進さすための協会や調査会・それにお墨付きを与える為の委員会等
の存在が国民への目くらましになっている場合もあります。
道路の件では仰る通りですね。
私の旅はバス利用が多いですが 地方では車がゆったりと走れる二車線道路でも
「この近くに道路を作ってるんですよ しかも並行してね、新道が出来れば
この通りも寂れてしまいます」
こんな話も度々聞きます。
ガラガラの自動車道(高速道としたらスピードは幾ら出しもよい と勘違いして
走り回る連中が居る為 東名以後は自動車道と呼ぶ)
を走っていると 工事中の道路に出くわす事もよくあります。
ガイド曰く「この道路でもがらがらよ、十分間に対向車が何台来るか数えてごらん、
あんなのを作ってどうするんよ」
観光バスで旅行していると 色々な発見があって楽しいものです。
公共事業を立ち上げる時には「調査会や委員会」等の機関で図面を引く筈です。
それも それぞれの力関係で白にもなり青にもなり黄にもなります。
Posted by tama at 2004年12月26日 06:23

tamaさんへ

コメントありがとうございます。
道路なんて、多少舗装されてなくても、がたがたでもいいような気がします。
それも街の味ではないかと。
同様に、空港だって、そんなに小奇麗でなくても、立派でなくても飛行機が飛べればいい。空き地に滑走路さえ引けば、取り敢えず飛行機は離発着できる。
何かこう、立派なものとか完璧なものを造ろうとするのでなく、もっと肩の力を抜いて、いろいろやって、駄目なら止めるとか模様替えするとか、そういう身軽な感覚を持てないかなぁと思います。
飛行場については、ニュージーランドのマウントクック空港を見て、空港のイメージが全く変わりました。
広くて何にもないところに、滑走路があり、掘立て小屋のような平屋の建物が立っている。トイレも一応ある。
そういう空港です。ところが、飛行機が次々離発着していて、観光用の小型飛行機もたくさん停まっていました。観光客でごった返してます。それがまた味わい深いのです。
(ただし、あとで分かったのですが、空港の建物が火災に逢い、仮設の状態だったらしい。)

空港なんて、飛行機が離発着できればいい。それを如何に活用できるかが問題。
鳥取空港は、砂丘に滑走路引いてます。もともと使い道のなさそうな土地です。それぞれの地域でお金のかからない空港は考えられるはずだと思います。
Posted by miki at 2004年12月26日 20:20

>これから世界的に航空機輸送の需要が激増します。10数年で倍増の勢いです。
世界は、どうかより、日本のデーターを読み取ってください
日本の旅客の伸びは、過去(1984-2003、5,1%)より低い(2004-2023、4,0%)と予測されています。

>道路に毎年11兆円もの大金を注ぎ込んでいるのに、3000億円規模(毎年ではなく1回きり)の空港だと大騒ぎと言う日本の世論こそが、真の問題です。
道路は、全体の事業費。
空港は、一つの空港の建設事業費。
当然、建設すれば、今後維持費もかかってきます。
まったく、ちぐはぐな比較ですねぇ

データーは、数字です。それを分析する人によって、とり方もさまざまですが、あまりに都合のいい解釈は、単なる煽りとしか読めません。
>関西に空港が3つも必要か?とかのんきなことを言う人が多いのです。
これなど、明らかな煽りです。
大阪空港二種格下げが、継続議題になったのは、本当に3つも必要か?
と、予算と相談して、国交省が、疑問を呈したのではないですか?
それを、呑気というのなら、日本は、湯水のごとく予算があるんですねぇ
Posted by きつね at 2004年12月29日 02:48

いろいろな意見があります。

神戸空港はなぜ必要か
http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/kobe.html

こちらの意見も参考にしてください
Posted by miki at 2004年12月29日 13:48

きつねさん
コメントありがとうございます。

>日本の旅客の伸びは、過去(1984-2003、5,1%)より低い(2004-2023、4,0%)と予測されています。

伸びが1.1%ほど、鈍化するのですか。でもますます航空需要は増えるんですよね。

国内航空旅客数の推移(過去の推移。予測グラフは見つかりませんでした)
http://www1.sphere.ne.jp/kitaqair/outline/data1.html

需要が増えるのに、なぜ縮小論(伊丹)が出てくるのでしょうか?
関西の滑走路を減らしたら、その分の需要が他地域に回るだけだと思うのですが。
Posted by miki at 2004年12月30日 14:23
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