2006年03月26日

高砂沖で航空機が無駄に旋回する理由

ヤヱガキ(姫路市)製自作小型飛行機(姫路科学館

1 航空機がマイカー感覚に

姫路科学館に展示してある小型軽飛行機はエキスペリメンタル・エアクラフト(EA機)と呼ばれる飛行機です。米国では個人が購入し、1〜2年かけて自分自身で製作、アメリカ連邦航空局(FAA)の承認をとって空を自由に飛ぶことができ広く全米に普及しています。また日本にもエクスペリメンタル航空機連盟という会があり、活動しているようです。
こちらには飛行機通勤の話題が書いてあります。住宅価格の高いシリコンバレーを離れて、50〜100マイル離れたマルチネスやサクラメントオレゴン州ネバダ州などに引っ越して、自分で操縦して飛行機通勤をする人が増えているとか。ジャイロプレーンというプロペラ付き飛行機が人気で、普段はプロペラを折りたたんでクルマとして自宅から空港まで移動、そのまま飛行し、着陸後再び折りたたんで会社に行くという試みもされています。
こちらのジャイロプレーンだと200万円ちょっとなので、トヨタのマークXや普及型ミニバンを買う感覚でしょうか。

2 一極集中の弊害

話は変わって、滑走路上に雲があるため空港の上空を旋回する「上空待機」の便に乗り合わせたことがあります。燃料が無駄な上に、乗っている乗客もあまり気持ちのいいものではありません。
ところが、神戸空港では開港2週間で10便もの航空機が、出発便待ちのために高砂沖(明石海峡西側)で上空待機していたことがわかりました。

上空待機2週間で10便…明石海峡西側(読売新聞)

神戸空港は、伊丹空港関西空港を離発着する飛行機が過密スケジュールで離発着しているため東側への離発着コースが取れず、すべて空港の西側から離発着を行っています。そのため、西側も出発便と到着便が譲り合いながら離発着を行っている状態になっています。上空待機は通常、天候や緊急事態など特別な事情で行うものですが、神戸空港は、好天であってもちょっとしたダイヤのずれで上空待機の必要があり、常態化しつつあります。以前から過密空域を懸念してきた国土交通省は神戸空港に便数制限を設けていますが、搭乗率も良く、開港直後ですでにその制限枠を使い切りそうな状況になっています。
神戸市長「発着便数の増加を国土交通省に求めていく」(読売新聞)と言ってるみたいですが、それでは益々高砂沖の上空で無駄に旋回する航空機が増えてしまいます。

高砂沖の上空で旋回するだけの時間と燃料の余裕があるなら、その下に滑走路を造って一部の便だけでも着陸したらどうかと思います。

3 バランス感覚を発揮しよう

稀に空港を造ることを大げさな論議に歪曲する人やジャーナリズム(成田闘争の影響でしょうか?)がいますが、マイカー感覚とまではいかないにしろ、せめて乗合バスターミナル感覚ぐらいに考えたらどうかと思います。
あまり地方空港を見る機会がなかった人が神戸空港を見て、そのコンパクトさに驚く例があるようですが、あれでもわざわざ深い海を埋め立ててるから(関西空港に比べてケタ違いに安いとは言え)お金はかかっています。しかし平らな土地さえあれば大部分は不要なコスト。空港建設費がかかると言うより、「山と海に挟まれて神戸市に広くて平らな土地が無い」ということが本質的な問題です。(※1)空港反対派がうるさいので、「税金を投入しない」と空港地埋め立てのための借金を周辺土地売却で返済する計画を無理して続けてきたから問題になってるだけで、いわば神戸市固有の問題と言えます。(※2)
平野部をごく普通に持つ地方都市であれば、たかが滑走路を造るのにそんなに費用がかかるものではないですし、砂丘に滑走路を造っている鳥取空港や、河川敷に滑走路を造っている富山空港のように、便利な場所に安く造る知恵も見つかります。
また、3年後の羽田再拡張などにより首都圏の逼迫した空港混雑が改善されてくれば、地方空港の経営も好転していくものと思います。よみうりテレビウェークアップによれば、「総務省が2001年に実施した行政評価では調査した地方空港の半分で利用客数が当初の予想を下回っているのだ。」と報道していますが、見方を変えれば、首都圏に小型機で思うように多くの便数を飛ばせないにも関わらず、「地方空港の半分は、当初の予想を上回っている」という驚くべき好成績とも言えるのです。

※1 平清盛がいくら熱望しても福原京は5カ月しか持ちませんでした。都にするには土地が無さ過ぎると言う本質的な問題があります。150万もの人口を抱えて無理に無理を重ねてきた斜面都市・神戸市の努力には敬服しますが、高度経済成長が終わって土地神話が崩壊、高齢化社会を迎えた現在になっても無理に頑張る姿は、哀れにしか見えません。「小さくてもキラリと光る」という神戸なら、まだまだ近畿で存在感を保てるのに惜しい気がします。

※2 ただでさえ余りまくって売れない土地を抱える神戸市が、隣接地に地方空港を造ったくらいで売れるわけがないことは誰の目にも明らか。欧米長距離便やアジア便を始め、国内線も多く飛ぶ成田空港でも地元の成田市に企業が集まって困るという状況にありません。同様に欧米便・アジア便・国内便が飛び交う関空対岸のりんくうタウンですら期待されたビジネス活用にはほど遠いのに、わざわざ深い海を埋め立てて造った高い土地が売れると考えるほうがどうかしてます。


参考
落語的飛行のすすめ(372log@姫路) - 桂文珍さんの飛行機操縦の話題。
関西3空港羽田便好調も、過密空域で便数増やせず(372log@姫路)
播磨空港を見る視点(372log@姫路)
斜面都市の憂鬱(372log@姫路) - 斜面都市では高齢化問題が深刻。
大新聞の社説を見る視点(372log@姫路) - マスメディアの航空問題に対する認識はどうなっているのか。
但馬空港の利用者が増加、赤字解消には至らず(神戸新聞) - 但馬全域で人口19万人しかいないにも関わらず改善を続けて利用客が増加に転じた。2004年4-8月の搭乗者数が過去最高を記録。コウノトリ但馬空港は3年後の羽田再拡張に向け、東京便を画策し東京で営業展開をかけている。首都圏の空港キャパシティが貧弱でなければ小型機による直行便も実現し、ここまで苦労していないだろう。他の地方空港も、小型機を何本も飛ばせるようになれば利便性は各段にあがる。地方空港は首都圏の空港キャパシティ次第。

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富山県富山市 富山空港【全国の空港の紹介と空港から空港へアクセス情報】at 2007年07月19日 09:28
この記事へのコメント

神戸は港しかない町で、港に資本が集中してるから、例えば西区の広大な空き地に空港を作るなどの施策は取れなかったんでしょうね。
大塩沖に滑走路作るのは賛成です。
Posted by 姫路の人@4月から京都 at 2006年03月30日 01:16

姫路の人@4月から京都 さんへ

コメントありがとうございます。
たしかに西区は起伏はあるもののたくさんの土地がありそうな気がします。
Posted by miki at 2006年03月30日 01:18
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