2012年09月30日

先進国高齢化・新興国需要で拡大する、紙おむつ市場

神戸新聞号外

日本触媒姫路製造所の爆発事故で、世界中の紙おむつ市場が逼迫するかもしれません。
日本触媒は、世界的な紙おむつ需要の高まりで気を吐く関連企業です。

日本触媒(Wikipedia)
主な取扱商品はアクリル酸高吸水性樹脂
世界のアクリル酸製造能力の55%のシェアを持つが、自社のアクリル酸の世界シェアは15%で世界3位である。このギャップはどこから生まれてくるかというと、この会社では世界の化学メーカーにライセンシングを行なっており、その全ての製造能力を合計するとこのような数値となる。
高吸水性樹脂においては世界シェア25%(世界第一位)を取得しており、単純に言い換えると世界中の紙おむつの吸水ポリマーの4分の1はこの会社で製造されたものである。
アクリル酸と高吸水性ポリマー(高吸水性樹脂)の関係は次の通り。

子育て・介護を変えた、高吸水性ポリマー(くらしの中の化学製品)
高吸水性ポリマーは、アクリル酸と、これを中和したアクリル酸ナトリウムを合わせ網目状にたくさんつなげて作ります。網目が風船のように膨らんで、水をたっぷり蓄えられる構造になっています。
紙おむつ3大メーカーは、P&Gキンバリークラークユニチャームですが、技術の核となる高吸水性ポリマーの世界大手は、1位 日本触媒、5位 住友精化。どちらも姫路に主力工場があります。

今なぜ紙おむつが注目されているのか。

紙おむつ材料に大型投資を続ける日本触媒 少子化時代でも需要拡大が止まらないワケ(週間ダイヤモンド)
高齢者が増えることで大人用の紙おむつが一般化し広く使われるようになっている。国内市場で大人用は10年実績の44億3100万枚(実績)に対し、15年の予測は52億6900万枚と5年間で2割増が見込まれる。少子高齢化が進む先進国では乳幼児用の需要減を大人用がカバーし、紙おむつ全体では需要増が続くことが予測されるわけだ。
もう一つ、需要増に結びつくのが新興国における所得水準の向上だ。国民1人当たりの国内総生産(GDP)が3000~5000ドル(約24万~40万円)を超えると、乳児用の紙おむつは本格的に売れ始めると言われる。中国は08年、インドネシアは10年にそれぞれ3000ドル(約24万円)を超え、定説通りに紙おむつ需要は急速な拡大を見せている。
記事によると、巨大市場に目を付けた中国や韓国の化学メーカーも乗り出してきているようで、将来とも姫路が優位に立てるとは限りません。

参考
日本触媒、高吸水性樹脂で世界シェア3割(日本経済新聞) - 姫路製造所(兵庫県姫路市)は最大の主力拠点で、国内工場で唯一、SAPを生産する。(記事より) ← メディアも、世界的に高シェアを誇る日本触媒のような企業に、普段からもっと目を向けて欲しいものです。
円高・節電関係なし。日触が国内強化で姫路工場を増設(372log@姫路)
自家発電も増強、住友精化が姫路工場に70億超の投資(372log@姫路)
世界の化学拠点・姫路(372log@姫路)
研究所も大幅増強・姫路の名産「おむつ」(372log@姫路)
世界中の紙おむつを支える姫路(372log@姫路)
日本触媒事故、紙おむつ生産に影響懸念 復旧に半年か(日本経済新聞)
主力製品の供給が岐路に 操業再開のめど立たず(MSN産経ニュース) - 姫路で生産する高吸水性樹脂のシェアは世界で2割程度で、在庫はわずか。国内の他の拠点でも生産できないため、米国などの海外で増産する予定だが、「姫路をカバーする隙間はない」(尾方専務)という。(中略)ある関係者は「今後は海外での生産拡大をさらに進め、同製造所に集中していた生産能力を国内外で分散させることが求められる」と話した。(記事より)

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Posted by miki at 00:00Comments(2)IT