2012年07月27日

国土を強靭化して鎖国を目指す?



なぜ、鎖国こそが理想で、今それが不能なのか?藤井聡京大教授(YouTube)
平成24年2月22日 参議院 「国民生活・経済・社会保障に関する調査」
藤井聡参考人(京都大学教授・京都大学レジリエンス研究ユニット長)の公述より


わが国の国土強靭化(防災投資、新幹線整備と地方分散、デフレ脱却)を唱える学者、藤井聡先生。参議院での公述で、鎖国が理想とも思える発言がありました。
理論的に考えて、なぜ貿易が必要なのか。
貿易をすることがわが国国民の普通の人の普通の暮らしの普通の幸せのために必要であるならば貿易は必要と言っていいでしょう。
ところがそうでないとしたら。別に外国に頼ることがなく自分たちでいろいろな石油も採れ、お米も採れ、お肉も獲れ、いろんな音楽も作れ、いろんな、散髪屋もあり。
それでもし生きていって国民が本当に幸せだとするならば、貿易をする必要は、僕はないと思います。これが1点です。

もう1つ、もしも貿易をする必要があるとするならば。僕たちが幸せになるためではなくて、僕たちが持っている技術力とか財力とかがあれば、困った人を助けてあげられるんだったら、貿易をしてさしあげて、世界を救うために貿易をするということは僕は当然ながらあり得ると思いますが、

自分ひとりでは生きていけないから商売をするためによその人と貿易をやって生きてきまんねんというのは、男と言うものはという言葉が昔から日本で言いますけど、
独立することがすべての重要な美徳であって福沢諭吉も「文明論之概略」の一番最後は「自主独立・独立自尊」ということを言ってらっしゃるわけですから貿易という点でも独立するというのはこれは当然ながらすべての国家の究極的な目的だろうと思います。
しかしながら現実はそうではなくて油は出てこないですし、お肉もあんまり獲れへんし、なんか外国のほうが安い物があるところもあるし、まぁ貿易したほうがええかなということで渋々貿易をやっているだけの話であって、
本来は日本人が日本人として生きていけるんだったらなぜやる理由があるのか逆に日本中のみなさんにお聞きしたいぐらい。
言ってみれば、江戸時代に戻るのが理想。土人が理想と言ってるように見えます。

確かに江戸時代も、明治以降現代に至るまでの生活を知らなければなかなか良かったのかもしれません。しかし、牛丼やマクドのハンバーガーを食べ、インドのカレーを食べ、中華料理をいただき、フランスパンをかじって、イタリアのパスタも時々食べるという生活を送っているいまの日本人から見れば、絵空事にしか感じません。

日本もそれなりに長い歴史はありますが、そのほとんどの期間、大陸文化の影響を受けています。藤井先生が生まれた奈良にしろ、現在おられる京都にしろ、基本的には大陸からの流入文化がベースになっていて、しかも、そのあたりが日本文化の発祥みたいに思っている人も多い。

「日本人が日本人として生きていけるんだったら」と言われるその日本人。それは、アジアなど海外との交流や、流入文化を磨き育ててきた文化まるごと一式含んでいるのだと思います。いいかえれば、日本人とは有史以来、貿易や海外との交流をベースに形作られた海洋民族です。

日本沿岸で採れた魚や山菜をつかった日本食しか食べずにひっそり暮らすことは、理論上は可能でしょうが、それが理想だという現代日本人は少ないと思います。

「それでもし生きていって国民が本当に幸せだとするならば」という仮定が、あまりに現実味を欠いている。というのが感想です。

参考
日本にある、すべての蛇口を開こう(372log@姫路)

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Posted by miki at 01:15Comments(3)政治