2012年03月05日

トムクルーズが、ラストサムライを製作した理由



姫路の書写山円教寺などで撮影され、8年前に公開された日米とニュージーランドの合作映画・ラストサムライ

この映画を製作し、主演を務めたトムクルーズが、映画をつくるきっかけとなったのが、旧五千円札で有名になった新渡戸稲造が1900年に著した「武士道」です。

新渡戸稲造が伝えた「武士道」(侍庵)
新渡戸稲造は幕末に武士の家に生まれ、維新後は海外で研究活動を行い、帰国後は、青年の教育にあたった人でした。そして、「武士道」を著して世界に日本の侍の生き様と考え方を紹介したことで有名な人です。彼が著した「武士道」は欧米で好んで読まれ、英語のみならずポーランド、ドイツ、ノルウェー、スペイン、ロシア、イタリアなど、多くの国の言語に翻訳されてベストセラーになったそうです。つまり、近代以降の世界各国が認識した「サムライ」「武士」の姿は、新渡戸「武士道」に大きく影響された、と考えることができるわけです。
教育者・新渡戸が1889年頃、ベルギーの法学者・ラヴレー氏に「あなたがたの学校には宗教教育というものがないのですか?」と問い詰められ、これをきっかけに、日本では武士道が道徳の根幹を成していると考えるようになりました。

武士道は、教典のような書物で受け継がれたものではないため、現代の日本人にもわからない面がありますが、新渡戸の著した海外向け書物を読むことにより、日本人であっても理解を深める面がありそうです。

グローバル社会の激流の中で、世界と伍してジャパンオリジナルを発揮できるのは、日本独自の価値観に根付いたものしかありません。
それがなければ、トムクルーズだって日本に目を向けたりしなかったでしょうね。

参考
今、覚悟がたらぬリーダーに「武士道」を(赤松正雄のブログ) - 「武士道と云うは死ぬ事と見付けたり」(『葉隠』)との言葉に代表されるように、武士道は、戦時下における国民の覚悟としてかなり偏向的受けとめ方がなされてきた。そうした極端な形ではなく、もっと自然なリーダー論の中核とすべきではないか。忘れられた日本人の美徳を復興させるカギであり、男の覚悟の決め方の指南の書だと素直に思う。(ブログより)
「武士道の国の自衛官」(櫻井よしこ) - 自らを厳しく律し、恥を知り、責任を全うすることを重んずる武士道の心を、私たち日本人は戦後久しく忘れ去ってきた。だが、新渡戸稲造博士の著した『武士道』によって、その心は初めて言葉を通して表現された。以来、日本の武士道は国境を越え、多くの人々の心を揺り動かしてきた。台湾の李登輝前総統は、自信を失って変わり果てようとする現代の日本人に、“新渡戸先生の武士道精神を取り戻せ”とエールを送り、「ラスト・サムライ」を作ったトム・クルーズは武士道に魅せられ、新渡戸博士の著書を“何十回となく”繰り返し読んだと述べている。(ブログより)
新渡戸稲造著『武士道』の要点整理(tetsudaブログ 「日々ほぼ好日」)
武士道 (PHP文庫)(Amazon)
アジアの中でも日本は別格? 〇〇道を好むドイツ人(372log@姫路)
ローカルなものにしか価値がなくなる(372log@姫路)
  

Posted by miki at 00:00Comments(0)歴史