2009年11月27日

SPring-8の予算削減、海外科学雑誌でも疑問の声

Nature

SPring-8播磨佐用町)の予算削減は、イギリスの科学雑誌「Nature」でも話題に。

大きく切り込まれた日本の科学技術予算(Nature news)
第3ワーキンググループは、SPring-8について、そのメリットが「十分に説明されていない」として、年間予算108億円を3分の1から2分の1程度縮減し、研究資金の一部をSPring-8のユーザーから利用料を徴収して賄うことを既に提言している。
「SPring-8予算の縮減は大打撃です。それ自体で大きな収益をあげられるような大型放射光施設は、世界中のどこを探したってありません」。こう話すのは、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所茨城県つくば市)に所属し、SPring-8事業にも協力している構造生物学者の若槻壮市教授である。若槻教授は、この事業仕分け作業が「一方的」だと嘆き、科学者には、自らのプロジェクトを弁護する「真の機会」が与えられていないと話す。また、結晶学が専門の月原冨武特任教授(兵庫県立大学)も、SPring-8で行われているタンパク質結晶構造解析やその他の基礎研究が打撃を受けると考えており、行政刷新会議の提言に抗議する運動を組織している。
SPring-8ほどの有用な事業の事業費が削減されるということは、科学雑誌としてはかなりインパクトがあるのでしょうね。
このまま予算が削減されれば、世界中の科学界で一層話題になることでしょう。

行政刷新会議の本来の意図とは異なるかもしれませんが、国内外の科学者から日本が見放されるきっかけになる恐れがあります。科学者にとって、スプリング8の予算削減は、それほどの破壊力をもった大事件なのかもしれません。

参考
【事業仕分け】「革命的だが改善必要」英科学誌も論評(MSN産経ニュース)
スパコン事業の継続など要望 井戸知事と矢田市長(神戸新聞) - は大型放射光施設スプリング8の運営費が大幅縮減とされたことに「放射光自体の提供停止に直結するおそれがある」と指摘。(記事より)
まちおこし発想を超えよう(372log@姫路) - スプリング8がいかに成果を出しているか、将来の科学技術の推進のために必要かを、普段から地元以外の人にもPRし、理解しておいてもらわなければ、「地元の反発」、つまり地域の問題として片付けられてしまいます。(ブログより)
第3WG評価コメント (独)理化学研究所(2)(大型放射光施設(SPring-8)、植物科学研究事業、バイオリソース事業)(行政刷新会議) - 現状のようにランニングコストとして国費を年86億投じ続けることに対するアウトプット(メリット)が説明されていない。高額高コストのインフラなら波及効果を含めたメリットを説明しきる努力が必要。年86億に見合うメリットは何か、説明が充分でなければ、国費を認めがたい。メリットそのものの問題ではない。説明の問題。(資料より) ← 説明責任が果たされていないとの指摘。
配布資料1(8頁目以降),配布資料2(行政刷新会議)

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Posted by miki at 00:00Comments(0)科学