2009年08月29日
蘇る?マルクス経済学者

慶応大学・金子勝教授の経済講演会が姫路市文化センターでありました。
㊤マルクス経済学と近代経済学(キープ・レフト)
戦前戦後を通じ東大・京大ら帝大系はもちろんのこと、他の国立大学経済学部教授の多くが、マルクス経済学を教えていた。もちろん慶応大学の経済学部のように、私大は近代経済学の方が優勢だったろうが。「マル経」も「近経」も戦前に日本へ紹介導入されたが、どういうわけかマル経学者の方が圧倒的に優位だった。慶応大もマル経(マルクス経済学)の牙城で、それゆえ学舎が米軍による空襲を受けたと聞いたことがあります。
私は1981年に立命館大の経済学部に入学したのですが、すでにマルクス経済学は人気が無く、単に「単位が取り易い科目」に成り下がっていました。したがって、ずいぶんお世話になりました(笑)
マルクス経済学を簡単に言えば、資本主義には限界があるから恐慌になって社会主義に移行せざるを得ないというものです。
産業革命が起きたイギリスでは、労働者が朝から晩まで働かされて、工場を所有する資本家に搾取されていた。同じ人間なのにとてつもない格差が起きて、労働者のための経済学ができた。それがマルクス経済学というわけです。
日本ではマルクス経済学は、経済学の主流で、昔、東大や京大などの一流大学の経済学部を出た人は、洗礼(?)を受けているわけですね。
立命館大学は一流ではないかもしれませんが、京都大学と双子のような学校なので、やはりマルクス経済学が(当時は)主流でした。
というわけで、マルクス経済学者の話は、おおよそ察しがつくし、金子さんの話もテレビで聞く機会がありました。別に真剣に聴かなくても単位をとれるぐらいの理解はできるだろうという程度の、軽いスタンスで聴きにいきました。
今の経済も政治も悪いということを延々しゃべるのはいいとして、聴きたかったポイントはただ一つ、「どうすればいいか」。
だいたい、次の3つではなかったかと思います。
1 輸出依存型から内需主導への転換
2 対米から対中にシフト
3 規制による需要創出、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換
ドイツを例に、新エネルギー政策に国が関与することにより、市場を創出していくべき。農業も規制によって日本が得意な小規模・高付加価値農業を推進すべきとお話されていました。要するにアメリカのオレンジを、規制で締め出せということですね。
世界的不況でお先真っ暗という話をされる割に、どことなく活き活きとされているのは、資本主義を否定し、恐慌が来るぞ来るぞと言っていたマルクス経済学者の性でしょうか。
参考
㊦マルクス経済学と近代経済学(キープ・レフト) - 昨今グローバリズムの弊害が世界中で吹き出し、去年のドイツではマルクスの『資本論』が再びベストセラーとか!(ブログより)
金子勝さん(ふらっと)
京都大学と立命館が連携(姫路立命会)
西園寺公望がつくった大学(姫路立命会) - 「立命館大学は、京都大学と双子のような学校」というのは聞き捨てならぬというかたへの解説。
市場原理主義の転換点(372log@姫路) - 竹中教授も慶応大学ですが、慶応と言うのはなんて懐の広い学校でしょうか。
