2008年03月13日

溶ける校区。姫路で始まる小中一貫、学校選択制

姫路市立白鷺中学校姫路市本町

小学校から中学校に進学する際、環境が変わることからいじめや不登校が急増することに配慮して、小学校と中学校を一体的に運営する「小中一貫教育」が、姫路市で始まります。

姫路の小中学校が「4・3・2年制」に移行(神戸新聞)
〇九年度、市中心部にモデル校をつくり、一学級三十人規模で、各学年三学級の計二十七学級とする。校区の枠を外して生徒を募るという。
同市は、PTAや地域の理解を得た学校から順次導入し、市全体に広げる方針だが、小学校の統廃合も併せて行うため、疑問の声も出ている。
文科省によると、昨年十一月現在、構造改革特区などで小中一貫教育を実施する学校・地区は九十七件。特区以外でも東京都三鷹市和歌山県有田市など、全国で増えているという。

さらに、先行する一貫モデル校への入学は、校区外からも募集するとのことで、公立小中学校では珍しい学校選択制の始まりにもなります。

一貫校校区外からも募集(YOMIURI ONLINE)
姫路市教委は、2009年4月に姫路城南側の白鷺(はくろ)中学校区で開校する市内初の小中一貫校の募集概要をまとめた。初年度は小学1年から中学3年までの全学年を、翌10年度以降は、小学1年を校区外からも募る。書類と面接で審査、定員を超えた場合は抽選で決めるとしており、担当者は「独自のカリキュラムで一人ひとりの力を伸ばしたい」と意気込んでいる。

都会では、公立校から私立校に人気が移っていますが、姫路は私立が無かったり、あってもさほど選択の余地が無かったりで、公立の割合が多いのですが、公立学校の中で選択の幅が広がることになりそうです。

学校選択制を実施している自治体は、今のところ全国で9~11%。私立が完全選択制であることを考えれば、公立だって選択できるに超したことはありません。姫路市はそこに一歩を踏み出すのです。

私は、何でもかんでも枠を取っ払うような小泉-竹中流改革を全面的に支持するわけではありませんが、当たり前とか聖域と言われるようなものを頑なに守るばかりでなく、「枠を外して考える」というチャレンジはいくらでもすべきだと思います。
「公立図書館を有料化する」「姫新線ミニ新幹線を走らせる」「姫路バイパス朝夕の自家用車乗り入れ禁止」「但馬空港をアジアの国際ハブ空港に」「播磨を日本から独立させ大統領制を敷く」など。

学校選択だって、月~水曜は荒川小学校、木金は船場小学校に行くとか、市内留学制度をつくって学校同士で交換留学するとか、いろんなことが考えられます。何か問題が起きたから、その対策としてこうすればいいのじゃないかと制度変更するだけでなくて、「例えばこう変えれば、こんな良い面とこんな悪い面があるよ」という風に、どんどんバリエーションを増やすべき。学校は、規格化・画一化の歴史だった(注)のですが、だからこそ、そのくびきをといていく必要があると考えます。

今回、小中一貫のモデル校という形で、1つの突破口ができますが、これを機会に様々な「枠を外して考えてみる」ということを、姫路市教育委員会など教育関係者にはやってほしい。毎日1つ枠を外せば1年で365個のアイデアが出てきます。
制度変更には必ず良い面と悪い面があるので、両方を併記していくようにすれば、意外とアイデアを出すことは簡単と思います。(一見、良くないと思われる案でも、改めて考えてみれば良い面も必ずあるはず。)

教育は未来を考える夢のある分野です。世界で順位が上がったとか下がったとか、授業時間が増えたとか減ったとか、そんな瑣末な事象に捉われることなく、どうすれば子供たちが夢を抱くことができるか、大木のような大きな心を持つ人間に育つのかといったことを考えて欲しいです。

注)「地域情報化のメリット」より
学校は、産業革命をになう工場労働者を育てるために、<第2の波>の時代に誕生した。それ以前の学校は、特権階級だけのもの。金持ちの子息だけが学校に通っていた。
学校の「裏のカリキュラム」:「工場での労働を想定して、公共教育は基礎的な読み書き算数と歴史とその他の科目を少しずつ教えた。だが、これはいわば『表の教科課程(カリキュラム)』である。その裏には、はるかに大切な裏のカリキュラムが隠されていた。内容は3つで、今日でも産業主義の国では守られている。それは時間励行と従順と機械的な反復作業である。」(A・トフラー『第3の波』1980年より引用)

参考
小中一貫教育が始まるぞ(ひめナビブログ)
私立小学校・京阪神の事情と姫路の事情(ひめナビブログ) - 私立小学校の話題。

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Posted by miki at 00:00Comments(2)学校