2007年11月27日

年中ゆかたまつりの街

御所の湯城崎温泉

城崎温泉に行って驚いたことは、平日の前日の夕方だというのに大変多くの観光客が浴衣姿で歩いていることでした。「温泉街だから当たり前」なのでしょうか。いまどき温泉街をあんなに大勢の人が、しかも若いカップルまで浴衣で歩いている温泉街は、そう多くないんじゃないだろうかと思って調べてみましたが、やはり城崎は別格のようです。

観光経済新聞社第20回にっぽんの温泉100選(2006年度)・雰囲気ランキングで、城崎温泉は全国温泉地のベスト4。総合ランキングでも11位です。
もともと歴史のある温泉地ですが、こちらのランキング推移を見ると、総合10位前後になったのはここ数年のことのようで、以前はもう少しランクは下でした。

実は、九州に2つの対照的な温泉地があります。

成田シティージャーナルより
九州の温泉といえば、昔から別府が有名でした。ところが最近になって勢力図が塗り替えられ、何時の間にか国内屈指のリゾート温泉として別府に代わり湯布院の名前があがるようになりました。そして今日、その人気度においては別府温泉を圧倒して凌ぐだけでなく、温泉の総合ランキングでも常時、全国トップクラスに選ばれる程の力をつけてきたのです。
(中略)
湯布院の温泉郷は街ぐるみで温泉人気の原点に戻り、四季の風景や自然の恵みと温泉文化を調和させた全体的な街づくりに着手しました。そしてその落ち着いた雰囲気を売りにした上で、共通の入湯券や食事券制を導入して湯布院内、どこでも使えるようにしたのです。そのような中で「玉の湯」が国内温泉ランキングで常時トップ10入りするようになり、全国的に湯布院の知名度が上昇したことで、今では年間400万人以上の来訪客がある国内トップクラスの温泉タウンに生まれ変わりました。

別府温泉郷における新しい観光の動向より
熱海伊東と共に日本3大温泉地と称された別府だが、高度経済成長期までは、まちづくりと言う発想は皆無であった、と言っても過言ではない。しかし、旅館の大型化、高級化は進展し、その究極として、杉乃井ホテルのようなミニ盛り場型の宿泊施設が登場したのである。杉乃井ホテルは、高度経済成長期に大型化を計り、現在の部屋数は574室(収容定員は2527人)と言うマンモス旅館となった。館内には、料飲店、土産品店などの他に、ボーリング場、アミューズメント施設などレジャー施設が充実する。
こうした旅館の充実と共に、商店街からは土産品店が徐々に消え、歯抜けの状態を呈するようになった。

各地の有名温泉地で起こったのは、旅館やホテルが宿泊客にお金を使ってもらいたいがために、みやげ物も飲食もすべて館内で使ってもらおうと囲い込んだことです。

それは、温泉街にある飲食店やみやげ物に打撃を与えるだけでなく、温泉街をそぞろ歩く人そのものがいなくなってしまったこと。
実は、人は温泉街に温泉だけを求めて来ているわけではなくて、温泉街に来てそぞろ歩く人を見に来ているという面もあるんだと思います。

城崎には、外湯めぐりといって、7つの外湯を浴衣と下駄で巡ることを楽しみとする観光客が訪れます。7つの外湯は、温泉街の中に、しかも歩いてまわれる程度の距離にあります。つまり、浴衣を着て歩かせる街のしくみができているのです。
人っ子一人いない温泉街を浴衣着て歩くのは寂しい。しかし、城崎では浴衣を着て歩いている人がたくさんいるのです。これこそが最大の観光資源ではないのでしょうか。

同じことが地方都市にも言えます。地方都市の駅を降りて、人がほとんど歩いてなければ、寂しい街だなぁと思います。実は郊外のショッピングモールの中にはたくさんの人がいるのですが、モールからは一歩も外に出ません。すべてモール内で消費するように仕組まれているのです。
「ショッピングモールが何軒かあればそれでいいじゃないか」と言ってしまえば、多くの負け組み温泉街と同じように、街は死んでしまうんじゃないかと思います。

← 1日1回クリックして頂けるとRankが上がります
  

Posted by miki at 23:47Comments(0)観光