2005年07月09日

SPring-8は地球を救えるか?



製薬会社は莫大な費用をかけて新薬をつくります。自動車の開発期間は4年ですが、薬は20年もかけて開発します。要するに人件費がかかっているのですね。

莫大な費用がかかると、それを回収するために薬の値段は高くなってしまいます。その結果、世界中には薬が買えないために死んでしまう人がたくさんいます。また、高齢化社会になって医療費が肥大化し、国家が立ち行かなくなる恐れもあります。

では、薬の開発はなぜ20年もかかるのでしょうか?
薬の開発は、採取したさまざまな細菌などの中から役立ちそうな候補を絞り込むという偶然発見的な方法や、過去の医薬品開発の経験にしたがったやり方が主流です。効能や副作用については、開発段階でさまざまな試験を必要とします。

これに対し、ゲノム創薬が注目を集めています。ゲノム情報を活用することにより薬を論理的・効率的に作り出し、個人の遺伝的な多様性を知ることによって、より効果が高く、副作用の少ない薬をつくることができます。結果として開発期間が短縮されます。

このゲノム創薬を実現するためには、10万種もあるというタンパク質の構造がある程度解明される必要があります。ところが、1980年代後半まで、タンパク質の構造決定数は世界全体で年間数十を超えることはありませんでした。とても手間と時間がかかる作業だったのです。
それが2004年には、1年間で約5500種もの構造が決定されました。この変革をもたらした大きな要因の1つが、放射光による構造解析技術です

文部科学省タンパク3000という国家プロジェクトを推進していますが、その中核的研究拠点の1つがSPring-8を持つ理化学研究所・播磨研究所播磨三日月町。ただし10月〜佐用町。)です。

SPring-8でタンパク質の構造が数多く解明されると、人類を救えるかもしれません。世界が注目しています。

参考
播磨からノーベル賞も(372log@姫路)

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Posted by miki at 06:06Comments(2)科学